効率は、愛を育まない

2007.05.10

経営・マネジメント

効率は、愛を育まない

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

母親やパートナーが作ってくれた 「手料理」 には、外で買ってきた出来合いの惣菜にはない深い愛情を 感じますよね。

なぜでしょうか。

それは、手間をかけているから。つまり、貴重な時間を
たっぷりとかけて作ってくれているからですよね。

以前も同じようなことを書きましたが、
「愛」を相手に伝える最も効果的な方法は、

「あなたのために、自分の時間をたくさん使っていますよ」

ということを何らかの形で示すことです。

ですから、思いを寄せる男性に手編みのセーターや
マフラーをプレゼントするという女性の古典的な告白手法は、
実際、高い効果があったわけです。(笑)

また、マーケティング的な例では、

・プリンターで作成された手紙よりも、
 手書きの手紙をもらった方がうれしいこと

・書店やスーパーなどのPOP広告は、
 手書きの方が効果が高いこと

・旭山動物園の説明パネルは、印刷された立派なものより、
 飼育係が書いた手作りのパネルのほうがよく読まれること

が挙げられます。

手書き文字の効果が高いのは、
それが書き手の個性を感じさせるからというだけでなく、
わざわざ手間(時間)をかけて自分で書いている事実が
相手の好感を引き出しているからだと思います。

さて、私の専門とする

「CRM」(Customer Relationship Management)

は、ベタな言い方をすると、

「お客様と相思相愛の関係になること」

です。

ただ、この点について、
大きな勘違いをしている企業(人)が多いように思います。

大きな勘違いとは、CRMを

「お客様が、自社(商品)を愛してくれるようにすること」

と、考えていることです。

つまり、企業側が一方的にお客様の愛を求めているわけです。
実に独りよがりな考えですよね。
(理念レベルではそうじゃなくても、現実のCRM施策立案段階
 ではどうしても、こうした考えに傾きがちなんですよ・・・)

しかし、お客様に愛してほしければ、お客様の愛を一方的に
求める前に、まず企業側がお客様を愛すべきでは?

そして、このためには、「愛していること」をお客様に
実感させることが必要です。

これは、理想論でもきれいごとでもありません。

感動を与える商品(サービス)を提供している、
顧客満足度の高い企業は実際、

「お客様への愛」

を効果的にお客様に伝えています。

リッツ・カールトンや加賀屋等の取り組みを
お読みになれば、よくおわかりになると思いますが、

「お客様への愛」

を伝えるために彼らがやっていることは、効率を度外視して、

「手間をかける」「時間をかける」

ことなんです。

今、「効率」という言葉を書きましたが、CRMの最大の壁は、

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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