自立から自律へ、そして自導「セルフ・リーダーシップ」へ <上>

2008.05.12

組織・人材

自立から自律へ、そして自導「セルフ・リーダーシップ」へ <上>

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

自律的人財の育成は重要問題である。しかし、「自律的」だけでは不十分である。個も組織も、その先の「自導的」にまで高めていかなければ・・・

【Envisioning Career-scape 第6景 -01】=======

◆「自律的」では不十分である!
私が行なっている事業のコアサービスは、
『キャリアの自律マインド醸成研修』と名づけているものです。
大小いろいろと手を入れて、
かれこれ5年間続けてきました。

日々の“働く”にあたって、
「自立」とはどういうことか、
「自律」とはどういうことか、
そして、それらを越えて「合律的」働き方とは何か、等々を、
理屈の理解ではなく、「行(ぎょう)」として腹に落ちるように
研修プログラムを組んできました。

企業の研修分野において、
従業員を「自律的」働き方のできる人財に育てよう、という流れは
現在、誰も否定する人はいません。

これはこれで、その通りだと思います。
だから、私も働き手の自律心を涵養するサービスを今後も続けていきます。

ただ、ここにきて、それでは不十分であることに
私自身、気づき始めています。

企業の研修の現場に立つと(とくに大企業の場合はそうですが)、
5年目以上の社員の中には、
自律心がある程度確立されていて、自律的にちゃんと働ける人が
少なからず見受けられます。

彼らは、自律的に自らの判断基準で状況を判断し、
自分で行動を起こすことができます。
上司に対しても、組織に対しても意見を言うことができるし、
担当仕事の目標設定や納期、品質もきちんと自己管理ができます。

すでに部下を持って、彼らを動かしたり、
そうでなくとも後輩の面倒をみたりするなど、協働意識もあります。

しかし、そんな自律的な彼らであっても、「何かが足りない」・・・
かけがえなく働く一職業人として、確かに「何かが足りない」、
というか「何か満たされていない」ように思える・・・

◆天安門で戦車の前に立つ青年が示すもの
それが何なのかが、ぴーんと来たのは、
『リーダーシップの旅』(野田智義・金井壽宏著)
の中の一節を読んだときでした。
その箇所を抜き出してみると、

 ・・・・・・・・・
 「皆さんはリーダーと聞いて、どんな人をイメージされますか?」
 すると、未だ三十代と思しき白人男性が立ち上がって答えた。
 「天安門広場で戦車を止めようとして一人で立ちはだかった、
 名も知れぬ若い中国人の男性」。
 (中略)
 あの(天安門の)青年はきっと特別な人間でも、エリートでもないだろう。
 自分が戦車を止めることで実現されること、
 その何かを見てみたいと思い、
 たった一人で足を踏み出したに違いない。
 「他の人が見ない何かを見てみたい」という意志をもつあらゆる人の前に、
 リーダーシップへの道が開けていることを、
 彼の行動は示しているのではないか。
 ・・・・・・・・・・

次のページ「リード・ザ・セルフ」を起点とし、

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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