自立から自律へ、そして自導「セルフ・リーダーシップ」へ <下>

2008.05.12

組織・人材

自立から自律へ、そして自導「セルフ・リーダーシップ」へ <下>

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

リーダーシップには2つある。対他者のリーダーシップと対自己のリーダーシップと。 さて、己をリードするとはどういうことなのだろうか?

【Envisioning Career-scape 第6景 -02】=======

前回から2回にわたって
・職業人の内的成熟過程「自立→自律→自導」
・自導=「セルフ・リーダーシップ」
について触れています。

前回、リーダーシップには、どうやら
・外(他者)に向けたリーダーシップ<outward leadership>と、
・内(自己)に向けたリーダーシップ<inward leadership>の
2つがありそうだと書きました。
そして、後者を特に「自導:セルフ・リーダーシップ」として考察しています。

◆自分を導くもう1人の自分
セルフ・リーダーシップについては、これまで、
一般的なリーダーシップ(outward leadership)ほどに多くが語られてきた
わけではありませんが、
『7つの習慣』で有名なスティーブン・R・コヴィー氏は
その「第二の習慣」<目的を持って始める>の中で、
“自己リーダーシップ(personal leadership)”として打ち出しています。

セルフ・リーダーシップをとらえる上でミソとなるのは、
「何が」己を導くのかということです
それはおおいなる目的(夢/志、大義なるもの)であり、
抗し難く湧き起こってくる“内なる声”、“心の叫び”であり、
それを覚知したもう一人の自分でもあります。

セルフ・リーダーシップなる言葉を使わずとも、過去から賢人たちは
そのようなことに言及してきました。

例えば、世阿弥は『花鏡』の中で、「離見の見」と言っています。
つまり、演者自身の目線は「我見」、観客の目線は「離見」。
舞いを究めるには、我見・離見を越えて第三点から見晴らす「離見の見」
を持たねばならないという考えです。
「離見の見」とは、現実の自分を冷静に見下ろすもう一人の自分をこしらえ、
それが導き役を果たすという発想であり、
まさにセルフ・リーダーシップに通じるものです。

アーティストの世界はこれが顕著です。
パブロ・ピカソの言葉に、
 「着想は単なる出発点にすぎない・・・
 着想を、それがぼくの心に浮かんだとおりに定着できることは稀なのだ。
 仕事にとりかかるや否や、
 別のものがぼくの画筆の下から浮かびあがるのだ・・・
 描こうとするものを知るには描きはじめねばならない」。

同じく画家、中川一政は自身の著書『腹の虫』でこう書いています。
 「私の中に腹の虫が棲んでいる。
 山椒魚のようなものか海鼠のようなものかわからないが棲んでいる。
 ふだんは私はいるのを忘れている」。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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