知能を外部化した文明に、人間の知性は残るのか AIで、仕事は速くなった。 資料はすぐに整う。 文章も書ける。 議事録もまとまる。 調べものも早い。 企画書のたたき台も、数秒で出てくる。 多くの人は、AIを「便利な道具」として語る。 企業は「生産性向上」と言い、現場は「業務効率化」と言い、個人は「使えるかどうか」で不安になる。 しかし、AIを職場の便利ツールとしてだけ見ると、時代の本質を見誤る。
AIは、すでに戦争の速度を変え始めている
AIは、職場だけの話ではない。
すでに戦争にも入り始めている。
米国防総省の「Replicator」構想は、将来の紛争に備えて、安価で知能化された多数の無人システムを短期間で配備する計画として報じられている。Reutersは、同構想について、年間5億ドル規模の予算で「数千の低コストで知能化された戦闘ドローン」を18〜24か月以内に展開する狙いがあると報じた。
ウクライナでも、AIは戦場の現実に入り込んでいる。Reutersは2025年、米国企業Auterionがウクライナに3万3000個のAI搭載ドローン誘導キットを供給すると報じた。これらは、手動操縦の攻撃ドローンが最終接近時に目標を視覚的に追尾し、電波妨害下でも機能することを狙ったものだとされる。
さらに、ガザをめぐっては、AI支援型の標的選定に関する報道が大きな議論を呼んだ。Guardianは2024年、イスラエル軍が「Lavender」と呼ばれるAIシステムを用いて、ハマスとの関係が疑われる3万7000人を特定したとする証言を報じた。イスラエル軍は一部の主張を否定し、国際法に従って独立した確認を行っていると反論しているが、この報道は、AIが命に関わる判断の速度と規模を変えつつある現実を突きつけた。
2026年には、イスラエルの軍事指揮システム「Tzayad」が、ガザとレバノンでの戦争において85万件の潜在的なリアルタイム標的を識別したと、供給企業Elbit Systemsが説明したとGuardianが報じた。Elbitは後に、この数字はシステム活動を示すものであり、確認された敵標的や攻撃件数ではないと補足している。それでも、こうした規模の「候補」が人間の判断へ流れ込む時代が始まっていることは重い。
ここで問われているのは、単に軍事技術の進歩ではない。
人間が、命に関わる判断をどこまで知能システムに委ねるのか。
この問いである。
自律兵器をめぐる議論では、人間の意思決定のあり方、判断の影響、責任の所在が変わると指摘されている。ICRC関連の報告でも、自律兵器システムは、人間中心で慎重な規範づくりが必要だと整理されている。
AIの戦争利用は、私たちに最も生々しい問いを突きつける。
知能は、対象を識別する。
知性は、その対象の奥に人間を見る。
知性が劣化した社会でAIが使われると、人間は「顧客」「社員」「市民」「敵」「リスク」「候補」として分類される。
そして、その分類は合理的に見える。
合理的に選別する。
合理的に評価する。
合理的に監視する。
合理的に攻撃する。
そこに恐ろしさがある。
CHANGE
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株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。
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