なぜ、同じ行動をしているにもかかわらず、ある人の評価は高く、別の人は低くなるのか。ビジネスの現場では、この“不可思議なズレ”が日常的に起きています。
事前期待は固定されたものではありません。最も大切なのは、事前期待は“変えられる”という事実です。相手の不安を取り除き、未来の見通しを示し、どのような価値が提供されるかを明確にすることで、事前期待は変化します。すると評価が安定し、成果が安定し、組織は個人のセンスに頼らない運営が可能になります。
行動を変える前に事前期待を設計する。この順番が、評価の安定につながるもっとも確実な方法です。
事前期待の設計は、ARISEの次のステップにどうつながるのか
前回紹介した ARISEモデル の「R(Recognition)」は、“事前期待を読み解く”プロセスでした。今回のテーマである「事前期待を設計する」は、Recognitionで得られた理解を、実際の価値提供の場で意図的に使う行為です。事前期待を理解し、設計し、行動と一致させることで、初めて再現性が生まれる。
次回は、その再現性が“組織の戦略の優位性”にまでつながる理由を掘り下げます。
第4回予告:優秀な人が辞めても成果が落ちない組織──再現性がつくる「戦略の優位性」
事前期待を基準にした行動設計は、単なるスキルトレーニングではありません。組織の成果が安定し、人に依存せず、市場の変化に強くなる“戦略の優位性”になります。
次回は、属人化の解消と戦略の関係性を深く解説します。
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2015.07.10
2009.02.10
サービスサイエンティスト (松井サービスコンサルティング)
サービスサイエンティスト(サービス事業改革の専門家)として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 【最新刊】事前期待~リ・プロデュースから始める顧客価値の再現性と進化の設計図~【代表著書】日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新
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