高齢者が元気と健康を維持するための、たった一つの大切なこと。

2023.01.26

ライフ・ソーシャル

高齢者が元気と健康を維持するための、たった一つの大切なこと。

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長

健康食品やサプリメント、健康器具、化粧品などのさまざまな宣伝が行われているが・・・・。

昔に比べて今の高齢者がとても若々しいのは、見た目だけでなく、体力検査などの数値においても明らかになっています。その要因の一つとして、私は、3世代同居が激減した(1986年の約45%から、2021年は約9%となった)ことが大きいと見ています。

一つには、子や孫と一緒に住んでいて「何でもしてもらえた環境」から、高齢者だけで住むようになることで「何でも自分でしなければならない環境」へと変化し、頭や体を日常的に使うようになったこと。もう一つは、高齢者だけで住んでいると、「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ばれたり、年寄り扱いされたりする機会が減って、年を取った実感がなくなり、気持ちが若くいられるということがあるでしょう。

現代の高齢者の“若返り”の理由が、「人の助けを借りずに自分でやるようになったこと」「年寄り扱いされなくなったこと」だとすると、高齢者が若々しくいる秘訣(ひけつ)は、「同世代で集まる」暮らしではないかと思います。世代間交流がダメだというわけではありませんが、若い人との触れ合いは、「頭と体を使わなくなる(何でもやってもらえる)」「年寄り扱いされる(老けた、衰えたと感じやすい)」という点で、デメリットもあるということです。

高齢者が同世代で集まるメリットは、他にもたくさんあります。

まず、心身の痛みやつらさをシェアすることができます。年を取れば誰でも体のどこかに不調が出てきますし、さまざまな喪失経験で精神的なダメージを受けるケースも増えます。そんなときに、同じような経験を持って共感してくれたり、情報やアドバイスをくれたりする仲間は同世代に限られます。

また、同世代で集う機会は規則正しい生活につながります。仕事や子育て、学校に通うといったルーティンを持つ人たちと高齢者では生活時間が異なりますが、同世代なら生活時間が似ていて時間が合わせやすいので、集まって何かをすることを、習慣として日常に組み込むことが可能になります。集まれば、他者の視点を意識しますから、身だしなみを整えたり、清潔感や健康状態に気を配ったりすることにもつながり、生活習慣はよりよくなっていきます。

他にも、同世代で集まれば「参考になる」「尊敬できる」「目標になる」といった人がいるでしょうから、そうした出会いはこれから先の人生に張りをもたらします。先日、80歳で韓国語を学んでいる女性に「立派!」と申し上げたら、その語学スクールの同じクラスにいる92歳の男性が勉強熱心で、クラスで一番成績がいいので、いつも励みになっているとのことでした。同世代だからそう思えるわけで、若い人の成績がいいなら「若いからできるのね」で終わってしまいそうです。

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長

高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。

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