『9月入学制』への移行私案

画像: Masahiko Satoh

2020.05.25

経営・マネジメント

『9月入学制』への移行私案

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「『9月入学』を目的化すべきでない」という論者もいる。しかし、日本の学生の海外留学と外国人留学生の受け入れをしやすくし、ひいては日本の若者と教育現場に多様性の価値観をもたらすという大義は正しく、それが大目的になると考えるので、小生は大賛成だ。問題はその方法論。ここに私案を提示したい。

ここまで述べてくると、その「調整学年」の親御さんたちからは「我が子が何か不利益を被らないだろうか」という心配の声が聞こえてきそうだ。

ご安心願いたい。むしろ逆だ。その学年の生徒たちは小中高大学へのそれぞれへの入学または各進級後5ケ月間、従来より少ない学年生徒数に対し従来通り(または若干多いくらい)の数の教師が各学校に毎度いる格好になるため、他の学年に比べて手厚いサポートが得られることになる。いわば最後の旧制度学年にとって「残り物には福がある」を毎回実感できるはずだ。

最後の課題は、「調整学年」は常に小規模集団となる運命であり、それが幾つか影響をもたらすことである。

例えば学校内での体育祭や文化祭などでの「学年対抗」では不利になるので、その分のハンディキャップを与える工夫は欲しい。また部活動などにおいて、「調整学年」の生徒たちが最終年に指導的立場になる際に「人材不足」気味になることも想定内だ。そして次の学年の生徒たちにとっては「上が詰まっている」状態になるので、自分たちが最上級生になっている期間が他の学年より短いことに不満が噴出するかも知れない。

「何と小さな話か」と一笑に付すことなかれ。当の生徒たちにとっては重大事だ。それに部活動などは将来の社会生活の模擬練習でもあり、そこでの経験を軽視すべきではない。

しかしこれも解決可能だ。「調整学年」が最終年になる際に、その少ない人数だけで幹部を構成せずに、次学年の生徒たちを含めるように教師が指導してあげればよい。「調整学年」の生徒たちは後輩の力を引き出すことを覚え、次学年の生徒たちは少ない先輩を支え幹部としての自覚を早めに育てることができる。うまくいけば次の代からも同じような「幹部学年の繋ぎ方」が定着しよう。

すぐに思いつく課題は以上だが、他にもあるかも知れない。しかし大義を考えれば克服できるものではないだろうか。改めて申し上げたいが、『9月入学制』は教育制度の根幹の一つを変えるイシューである。拙速ではなく熟慮と配慮を踏まえた検討を、文科省には期待したい。
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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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