オフィス労働生産性を向上させるために(6)『働き方改革』は狙いを見定めて

画像: Urs Steiner

2019.11.06

経営・マネジメント

オフィス労働生産性を向上させるために(6)『働き方改革』は狙いを見定めて

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「オフィスにおける労働生産性を向上させるために必要なこと」シリーズの第6弾。 『働き方改革』には大きく分けて「効率向上」「ダイバーシティ推進」「創造性開発」の3つの異なる狙いがあり得る。自社の課題や取り組み成熟度によって、どの狙いが最も重要視されるべきかは異なってくる。

最後の狙いである「創造性開発(またはイノベーション推進)」はもっと上のレベルを目指すものだ。典型的には「効率向上」によって時間的余裕を取り戻した従業員に(「定まった仕事を単にこなす」のではなく)もっと頭を創造的な方向に使ってもらい、新しい製品・サービス・事業を開発することや、従来の業務のあり方を改善することを目指してもらおうというものだ。

そして実は「ダイバーシティ推進」もまた、そこに貢献することが期待される。新しく加わった従業員がもたらす多様性が組織に刺激を与え、新たな創造性を生むというものだ。典型的には、女性社員や外国人社員がそれまでの従業員では思いつかない視点で問題点を指摘し、新たなサービスのニーズを掘り起こすことにつながるといったパターンだ。

したがって「創造性開発」のための主な手段は、従業員に時間的余裕を取り戻させたり手法を学ばせたりするだけでなく、外部の人との交流や自己研鑽の意欲・機会を積極的にもたらすこと、社内でも色んな背景を持った人たち同士を交流させること等が重要になってくる。

そして「創造性開発」がうまく回ると、仕事が生む付加価値が一挙に拡大し(つまり生産性指標の分子部分が大きくなり)、その結果として会社の利益が上がった分だけ賃金引上げの糊代(のりしろ)が増える、という好循環に入ることができるのだ。

以上のように、同じ『働き方改革』といっても自社の課題や成熟度によって重点を置く狙いが異なること、そして狙いが異なれば執るべき手段も異なることは念頭に置いて進めるべきだろう。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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