高齢期に大切にする10の価値(aging anchor)
もちろん、10の中のどれを重視するのが良い・悪いという話ではない。それぞれが生きてきた人生も違えば、今置かれている環境も違うし、これからどのように暮らし、どのように死にたいかという希望も違っているからだ。また、年をとればとるほど人は多様になっていくから、どのアンカーが高齢期の幸福に寄与しやすいかを一様に語ることはできない。たった一つのアンカーを選ぶ人もいれば、3つ、4つと選択する人もいるだろうし、環境の変化や身体的変化によって、アンカーが変わっていくこともあるだろう。そういう意味では、柔軟に、気楽に自分の高齢期の暮らしについて考える材料にしていただければよい。
高齢者自身にとってだけではなく、次世代、子供世代にとってもエイジング・アンカーを理解しておくことは意味がある。高齢の親がどう生きるかは、離れて暮らす子供たちの大きな関心事(心配事)になっていて、本来は親子の間で十分な対話が求められるが、一般に物理的・心理的距離感から、しっかりと踏み込んだ内容の対話がなされている状況とは言いがたい。そんなとき、エイジング・アンカーを両者で見ながら対話に臨めば、いくぶんかでも親の気持ちや状況が分かりやすくなるだろう。また、子供世代も50歳代も後半になってくれば高齢期を意識し始める。いつか訪れる高齢期をイメージし、少しづつでも準備を進めるためにエイジング・アンカーはよい示唆になるはずである。高齢社会
2016.07.01
2016.07.29
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2019.09.02
NPO法人・老いの工学研究所 理事長 /一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事
組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革・健康経営など)や、高齢者・高齢社会をテーマとした講演を行っています。
