キレる高齢者が増加した 2つの理由。

画像: Dick Thomas Johnson

2017.02.24

ライフ・ソーシャル

キレる高齢者が増加した 2つの理由。

川口 雅裕
組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

高齢者10万人当たりの刑法犯は平成元年から約3倍になっており、他の年代に比べて突出している。

高齢者による犯罪が増加していると話題だが、それは高齢者が増えたからだけではなく、罪を犯す割合も増えている。下表は、各年齢層10万人当たりの刑法犯の検挙人数で、高齢者10万人当たりの刑法犯は平成元年から約3倍になっており、他の年代に比べて突出している。

次に、高齢者による犯罪の種類は以下の通りで、暴行罪が平成元年の48人から3,808人と約79倍になっているのが目に付く。傷害も10倍以上に増えた。暴行・傷害という乱暴だから、特に男性高齢者ということになるだろう。


●高齢者と非行少年の共通点

とはいえ、昔の高齢者は優しく、穏やかで分別もあったのに、今どきの高齢者は・・と嘆くのも単純すぎる話だ。アメリカの社会学者ハーシが提唱した、少年の非行に関する「社会的・絆理論」が参考になる。これによると、非行の抑止力として4種類の社会的つながりがある。①愛着(attachment)、②責務・役割(commitment)、③関わり・参加(involvement)、④暗黙の共通理解(belief)の4つだ。逆に言えば、これらを失うと非行に走りやすい。

一つ目の愛着(attachment)とは、家族・友人・恋人など愛着を感じる人たちを裏切らないようにしたい、期待に応えたいという気持ちのこと。愛着ある人の存在が、非行行動を思いとどまらせる。次の責務・役割(commitment)は、自分が成し遂げたいこと、責任を持ってやらねばならないこと、他者から期待されている役割といったものだ。これらがあれば、「非行によって、これまでの努力や実績が無に帰してしまう、信頼を失い役割が果たせなくなる」と想像するから抑止力になる。三つ目の関わり・参加(involvement)は、学業やスポーツなどの活動に参加し、その活動に巻き込まれている状態のことである。没頭し、忙しくしていれば、非行などする暇はなくなる。四つ目の暗黙の共通理解(belief)は、法やルールや規範を正当なものと信じ、これを守ろうとする態度だ。これらの社会的つながりがない少年は、抑止力を持たないので非行に走ってしまう。

高齢者に、これを当てはめてみよう。①愛着では、高齢期になると子の独立、配偶者の死、友人の減少などによって、期待に応えるべき相手、裏切ってはならない相手を意識しなくなってくる。②責務・役割でも、仕事から引退し、子育ても終了して責任や役割が減ってくる。③関わり・参加については、特に男性では現役時代に仕事以外の活動に関わりがなかった人が多く、暇を持て余すことが多くなる。④の遵法精神・規範意識のようなものはもちろん頭では分っているが、年をとるにつれて身だしなみが乱れがちになり、外見を気にしなくなってくるように、形式ばったことが面倒、億劫になり「少しくらいは大目に見てくれ」「面倒だし、まあイイじゃないか」といった緩みや甘えが湧いてきがちだ。

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川口 雅裕

組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革・健康経営など)や、高齢者・高齢社会をテーマとした講演を行っています。

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