GEがダウ平均銘柄から外れた理由

画像: (vincent desjardins)

2018.07.18

経営・マネジメント

GEがダウ平均銘柄から外れた理由

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

名門中の名門企業、GE(ゼネラル・エレクトリック)がダウ平均銘柄から外されたことで、同社の経営戦略に対する疑問符や経営陣の手腕への批判が噴出した。しかしそれはお門違いだ。

「ダウ平均銘柄からGEが外された」という報道を最近耳にした方がかなりおられるだろう。その際のニュアンスは「時代の波は遂に名門GEさえも置き去りにした」というものだ。つまりGE(ゼネラル・エレクトリック)が時代遅れになってしまい、日本の報道機関ではまるで東芝のような『名門企業の凋落』の象徴として捉えられたようだ。

『ダウ平均』とは正確にはダウ工業株30種平均。ニューヨーク株式市場(NYSE)に上場する米大手企業の代表的株式銘柄を象徴してきた経緯があり、その構成銘柄から外れるというのは長年、いわば「もう米国を代表する企業じゃない」と宣告されるようなものだった。

ダウ平均の創始期から構成銘柄だったGEが外れるというのはニュースバリューがあり、そのニュースが全世界を駆け巡ったのは当然だ。実際、GEは近年株価を下落させており、経営陣は株主から大いに批判されていた。その流れでの「ダウ平均銘柄から外れる」という宣告はあたかも名門GEの経営陣への失格宣言のようなものに聞こえ、経営不振による時価総額減少がその理由として真っ先に思いつくようだ。

しかし実態は少々違う。確かにGEの直近の4半期業績は98億2600万ドル(約1兆円)の赤字と凄いことになっており、最近の株価下落(過去1年間で約半分になった)はそれをもろに反映したものだ。しかしその中身をよく見ると新会計基準の適用と果敢なリストラがその主要因と分かる。

具体的には保険事業の評価見直しによる特別費用の計上など各種リストラ費用が増加した一方で、主力の一つである電力事業の営業利益が9割減と大幅に落ち込んだことが大きい(だからこそリストラの大ナタを振るっている)。そして新会計基準の適用により過去2年間の利益を下方修正し今後の減配を実施する方針を発表したことも、機関投資家による株式売却を促したようだ。

端的に言って同社の事業概況は、世界的なエネルギー需要の変革期にあって目先の投資意欲を減退させた電力会社という重大顧客に対する依存度を下げる必要性が加速した一方で、産業機械のデジタル・トランスフォーメーションを実現するためのPredixプラットフォームおよび一連のIoTサービスがまだ大きな収益にまでは結びついていないことを意味している。

しかしながらこの「インダストリー4.0」戦略は間違いなく世界のインフラ産業・工業の向かう道を先取りしており、GEの経営は「自社のトランスフォーメーション(変革)に手間取り過ぎている」との批判は当たっていても、方向性が誤っている訳ではない(ゆえにやがてGEの株価は大きく揺り戻すと小生は信じている)。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

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