「貢献の輪」と「強みの輪」(【連載10】新しい『日本的人事論』)

画像: snak

2018.06.29

組織・人材

「貢献の輪」と「強みの輪」(【連載10】新しい『日本的人事論』)

川口 雅裕
組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

組織・人事に関わる全ての施策は、日本人の特性や自社の独自性への洞察なしには機能しない。それは、OSが違えば、アプリが動作しないのと同じである。欧米の真似でもない、うまくいっている会社の真似でもない、日本企業において本当に機能する組織・人事の考え方や施策について思索・指南する連載。

貢献の機会を得るには、貢献したという結果とともに、相互の信頼関係も欠かせない。機会を与えてくれる者からの「彼ならやってくれる」という信頼を、強固にしていく努力が重要だ。そして、そのためにできるのは、今、与えられている機会に全力で取り組むことだけである。これから先、いつどのような機会が与えられるかは、機会を与えてくれる者を信頼して任せておくのがよい。機会に全力で取り組まず、貢献しようとする意識が低いままに、機会だけ欲しがっても決して与えられることはない。自分の能力向上に関する計画や与えられる機会に関する計画を立てたって、機会を与えてくれる者からの信頼や機会を与えてくれる者に対する貢献がなければ、それらが実現することは決してない。キャリアは機会(とそれに対する貢献)によって形作られる。しかし、当人は与えられた機会に全力を注げばよく、次の機会については与えてくれる者を信頼して任せる(委任する:entrust)のがよい。これが、キャリア・エントラストの考え方である。


●貢献の輪(貢献の4C)

貢献(contribution)するには、遠回りのようでも相互の信頼(credit)関係の構築から入るのがよい。貢献するには、機会(chance)が必要で、その機会を与えられるためには信頼が欠かせないからだ。また、信頼関係が未成熟な状態で、十分な相互理解やコミュニケーションがないままに貢献しようと努力しても、空回りや筋違いや場合によっては余計なお世話や邪魔にもなりかねない。あらゆる挑戦(challenge)は、十分な信頼関係を土台にして与えられる機会であるからこそ意味を持つ。貢献によって信頼がより厚くなっていき、このサイクルが大きく自律的に回るようになれば、キャリアはどんどん豊かになっていくはずだ。


●強みの輪(強みの4E)

信頼とともに、貢献するために必要なのは「強み」(edge)である。他者とは異なる、他者より少しでも優れた、知識・技術・ノウハウ・ネットワーク・感性・言動の特性・判断力・実行力といったものだ。信頼と強みによって、私達は組織に貢献することができる。強みを手に入れるには、遠回りのようでも、自分の役割や仕事といった貢献の機会について組織を信じて委任(entrust)するのがよい。仮にそれが予想外であったり、不本意であったりしても受け入れ、懸命に取り組むことを約束する(engage)べきだ。なぜなら、与えられた機会の内容こそが、現実の自分への期待であり評価なのであって、それを拒んだり、その機会に対する努力を怠ったりすれば、組織と自己の期待・評価の乖離が大きくなり、強みを伸ばす機会を失う可能性が高いからである。

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川口 雅裕

組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革・健康経営など)や、高齢者・高齢社会をテーマとした講演を行っています。

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