なんどやってもうまくいかない人:連打バカの袋小路

画像: photo AC: acworks さん

2018.06.03

仕事術

なんどやってもうまくいかない人:連打バカの袋小路

純丘曜彰 教授博士
大阪芸術大学 哲学教授

/一度、うまくいかないことは、おそらくまず、同じことをまたやっても、また同じように、うまくはいくまい。押しの一手で、どうにか、などということは、まず通用しない。そんなやつは、よけい嫌われ、かえって絶対にうまくいかなくなる。/

「先生、これ、なんどやっても、うまくいかないんすよ!」と、学生が文句を言う。講義のレポートをネット提出させているのだ。しかし、その手もとを見ると、こう言いながらも、画面を、ベシ、ベシ、ベシ、ベシ、と連打しまくっている。どう思う?

こんなこともあった。もう三十年以上も前のことだが、実話だ。機械に弱い旧世代の上司が、珍しく早出してきて、誰もおらず、仕方なく自分でやってみたらしい。おい、ほら、あれだ、あのファックス、壊れてたぞ。なんべん送っても、紙が戻ってきちゃうんだよ。どうもファックスを空間転送装置のようなものと思っていたらしい。その場にいたスタッフはみな、凍りついて、言葉を失う。先方も、朝っぱらから、床に散乱する大量の受信紙を前に、なにか嫌がらせ、インネン付けとしか思えなかっただろう。

これも、実話。仕事のできない事務局の教授が、学会案内の無圧縮画像入り超巨大ファイルを数百人の全会員向けメールに貼り付けて送信。それがすぐにうまくいかないものだから、その同じ超巨大メールを何十回と連打。個人のメーラーアプリはもちろん、あちこちの大学のメールサーバーさえも機能停止させ、大騒ぎになった。会員の方が各自、所属大学の方に説明を求められ、腹立たしい、腹立たしい。

うまくいかない、もう一度、やってみる、またうまくいかない。それでまたやってみる、やっぱりうまくいかない。そして、なんどもやってみる。そのうち、いらついて連打! 機械に限らない。ストーカーなども、同じ種の連打バカ。いっぺん振られたら、そこで立ち止まって、我が身を振り返るべきなのに、そのままなんども連打。それで、犯罪者扱いへ直行。

試験に落ちまくっているやつ、酒・タバコ・ギャンブルが止められないやつ、女癖・男癖、手癖・始末が悪いやつ、転職や借金を繰り返しているやつ、宗教や病院を渡り歩いているやつ、人生に失敗しまくっているやつ。みんなたいてい、この連打バカ。同じことしかしていないのに、次こそはうまくいく、なんとかなる、と、理由も無く簡単に信じられる脳天気な人々。

たかだかメールで、送り先や設定が間違っていて、送信できない、相手に届かないというだけなら、まだまし。どこか知らない、間違った相手に届くと、えらい迷惑。もっとまずいのは、よく知っている相手への御送信。内容によっては、大変なことになる。まして人間関係や生活関係では、一度でも大問題なのに、それを繰り返すようでは、人として話にならない。

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純丘曜彰 教授博士

大阪芸術大学 哲学教授

美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。

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