願望系でリードする

画像: Gage Skidmore

2016.08.23

仕事術

願望系でリードする

泉本 行志
株式会社アウトブレイン 代表取締役

プロジェクトが山場を迎えたり、予期せぬ問題が連発したりして、仕事量や精神的プレッシャーが増えてくると、 だんだん余裕がなくなり、チーム内に異様な緊張感と、殺伐とした空気が漂うことがあります。

こんなとき、みんなの心の中は、

「もうこれ以上余計な仕事増やすな」的な、
何事に対しても、やや否定的な感情を抱きやすい状態にあります。

通常、そんなピリピリとした雰囲気の中では、
人のIQは下がっていき、
「こんな時に限って・・」という余計なミスが発生し、
仕事がさらに増えるという悪夢の法則が働きます。。

リーダーであるあなたは、そんな状態を見かねて、
「もっと○○すべきだろう」と論じて
引き締めを図ったとします。

しかし、反応は冷ややか・・
みんなの内心は、
「でたー、正論・・」「それなら、自分でやってみろよ〜」

何とかしようと、いくら正論を吐いたところで、
プレッシャーの中、余裕なく疲弊している人たちを
動かしていくのはなかなか難しいことです。

そんなとき、
ちょっと言い方を変えるだけで、
随分と反応が変わります。

それは、「願望系」で話すというやり方です。

いきなり「○○すべきだ」
という評論家的な(人ごとに聞こえる)
言い方をするよりも、

まず「●●な状況でマジ大変だよね」と同調した上で、
「自分は○○したい」(願望)
という主観的な「願望系」の言い方をする方が、
受け入れられやすいことが多い。

たとえば、
「会社としての目標が○○なってるんだから、
今月中は何としてでも××を達成しないとならない」
と、組織の論理から話をするリーダーよりも、

「こんな状況なんだけど、私はこのチームで××を達成したいんですよ〜」
と自分の願望系で話す方がいい。

この方が、リーダー自身が当事者として、
主体的に仕事に取組んでいる感がある。
厳しい状況の中でも、リーダーとして、
何かしら「余裕がある」印象すら与え得ます。


チーム内のコミュニケーションミスが多いことを訴える場合も、
「もっと各自が○○なところに注意して取組むべきだ」
と発言するより、

「このチームを、もっと○○な感じにしていきたいですよね〜」

と願望系で発言した方が響きがいい。

人の感情を意識してマネジメントをするなら、
自分を主体とした「I(アイ)メッセージ」を心がけるべきです。


チームをまとめるために、リーダーとしてスケジュールを引いて、
タスクを分担し、課題を一覧化し・・
と管理しても、所詮すべてを把握・管理することは不可能。
各メンバーが主体的に問題を予見・発見し、対策を講じていく
チームを作ることが必要です。

そのためには、チームの雰囲気が大切で、
それには、リーダーの求心力が不可欠。

人は主体的に仕事を楽しんでいる者の周りに集まるもの。
そしてリーダーの態度が、チームの雰囲気を決めます。

それを突き詰めていくと、
「リーダーが仕事を楽しんでいること」
を醸し出すことが必要で、それが伝わると、
自然と主体的なチームが形成されるのだと思います。

願望系で仕事を主体的に楽しんでいるリーダーを演じる。
「演じる」といっても、それは虚構を演じていくわけでなく、
実際そういった発言を心がけると、リーダー本人も自ずと
その気になってくるもの。

リーダーが眉を細め、睨みをきかせて管理しようとしても、
できることなど限られています。

きついときにこそ、正論を吐いてハッパをかける代わりに、
「〜したい」と願望系で語り掛けましょう。


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