AI・ロボットをサービス事業に活かす ガッカリする前に考えること|service scientist's journal

画像: Fumika Harukaze (KRL)

2018.05.07

経営・マネジメント

AI・ロボットをサービス事業に活かす ガッカリする前に考えること|service scientist's journal

松井 拓己
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

「このまえお店にロボットがいたから話しかけたら、全然会話がかみ合わなくてガッカリしたよ。」「AIってすぐに役立つと思ったら、AIを教育しなきゃいけないんだね。これが大変でへこたれそうだよ。」 AIやロボットをサービス事業で活かす取り組に熱心な企業が増える一方で、冷ややかな反応やガッカリしたという評価も増えています。技術として発展途上のAIやロボティクスをどうサービス事業に活かすべきなのでしょうか。

AI・ロボットのガッカリ感

AIやロボットと聞いて、漫画や映画の世界にある“近未来”が到来したかのように期待が膨らみます。過度な期待の膨らみが、発展途上であるAIやロボットへの“ガッカリ感”に繋がっている側面があります。これは、AIやロボットを提供するベンダーが、事前期待を膨らませるような打ち出しをした結果と捉えることもできます。しかしこのままでは、「使えない」「胡散臭い」「一時のブーム」とレッテルを貼られてしまい、せっかくの技術が十分に活かされなくなる恐れがあります。認知が高まった今後は、事前期待をうまくマネジメントしながら、技術をサービスとして育てていくことが大切です。


着実にサービス事業での活用は広がっている

少し話がそれましたが、AIやロボットといった技術や仕組みをサービス事業として、どうやってうまく活かすと良いのかを考えます。たとえばAIやロボットの活用領域を、図のように顧客接点と非接点の業務、手順型と気付き型の業務の2軸で分類してみます。

多いのは図の下側の、社内業務の仕組み化です。左下は、バックオフィスの単純作業を仕組み化するような取り組みが代表格です。働き方改革の一環で、業務の効率化と働きやすさの向上を狙って、AIやロボットの活用が進んでいます。右下は、ビジネスの意志決定のサポート役として活躍の場が広がっています。経営や業績の分析だけでなく、人材のパフォーマンス向上やチームビルディングなど、様々な経営課題にAIが活かされています。

少しハードルが高いのは、図の上側の顧客接点での活用です。左上は、顧客接点の手順型業務の仕組み化です。ビジネスホテルのチェックイン、スーパーのレジ、飲食店の注文などの業務が、ロボットやタッチパネルに置き換わっているように、仕組み化を通した無人化が盛んです。右上は、顧客接点の中でも気付き型業務です。コンシェルジュや相談窓口での活用にチャレンジしたものの、「ロボに質問したら、聞かなくても分かることしか答えてくれなかった」という具合に、事前期待に応えきれずにガッカリされることが多いようです。

AIやロボットは、とくに顧客接点での活用が期待されていますが、まだまだ課題は多そうです。実は顧客接点での活用を考える場合、AIやロボットそのものの問題よりも、それを活用するサービス側の問題の方が大きいのです。次回は、AIやロボットの活用を見据えて、サービス側の問題に着目します。

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松井 拓己

松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。           代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新

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