サービスの現場の経験知を組織の力に変える(2) 【連載サービスサイエンス:第17回】

2016.05.13

経営・マネジメント

サービスの現場の経験知を組織の力に変える(2) 【連載サービスサイエンス:第17回】

松井 拓己
松井サービスコンサルティング 代表

実は、サービスの現場には経験やセンスで磨いた価値ある知恵や工夫がたくさんあります。しかしそういった知恵や工夫は普段、個人の頭の中にしまい込まれていて、組織で活用できていないことがほとんどです。これはまさに宝の持ち腐れです。プロセスのモデル化を通して、こういった価値ある知恵や工夫を見える形にして、現場の経験知を組織の力に変えることが、サービス改革や真のCS向上において、極めて重要です。

*サービス品質については、第13回(サービス品質向上の6つのポイント)の記事をご覧ください。

このとき気を付けたいことがあります。サービス品質の議論を進めていくと、いつの間にか事前期待への意識が薄れてしまい、自分達が普段の業務で何に力を入れているかについての議論ばかりしてしまいます。すると、後から冷静になって見返してみると、ここで議論して決めた「発揮すべきサービス品質」が、ポイント2で定義した「満たすべき事前期待」に全く合致していないことに気付きます。そしてこの結果を見て、いかに普段のサービス品質向上やCS向上の議論が、事前期待への意識が足りず、お客様不在な議論になってしまっていたかを実感して反省されるケースも少なくありません。

また、サービス品質の議論でよく挙がるのは、「正確性と迅速性が最も重要だ」という意見です。ミスをしてお客様にご迷惑をおかけしてはいけない、お客様をお待たせしてはいけない、という思いからの意見です。確かに一理あるかもしれません。しかし実は競合もここには力を入れていて、お客様からすると「正確で迅速なサービスは、どの会社も同じでしょ」と思われてしまっていることが少なくありません。競合サービスとの差別化も意識しながら、発揮すべきサービス品質について議論する必要があるのです。

サービスプロセスのモデル化でワンランク上のサービスを

このようにサービスプロセスをモデル化すると、明日から具体的にどのプロセスで何をすると、お客様から高い顧客満足を頂けるのかが明確になります。また、現場で評価の高いサービススタッフが、どのプロセスでどんな知恵や工夫を発揮しているのかも見える形になります。このサービス設計に基づいたサービス提供や人材育成を行うことで、今まで経験やセンスだけに頼っていた現場任せでバラつきの大きなサービスから脱却して、ワンランク上のサービスを組織的に実現することができるようになるのです。

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松井 拓己

松井サービスコンサルティング 代表

サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業の支援実績を有する。国や自治体、業界団体の支援や外部委員も兼務。サービスに関する講演や研修、記事連載、研究会のコーディネーターも務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新

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