ダイバーシティとキャリア形成の関係(【連載6】新しい『日本的人事論』)

画像: けんたま/KENTAMA

2018.04.23

組織・人材

ダイバーシティとキャリア形成の関係(【連載6】新しい『日本的人事論』)

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長 /一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

組織・人事に関わる全ての施策は、日本人の特性や自社の独自性への洞察なしには機能しない。それは、OSが違えば、アプリが動作しないのと同じである。欧米の真似でもない、うまくいっている会社の真似でもない、日本企業において本当に機能する組織・人事の考え方や施策について思索・指南する連載。

バリューワークは、このような状態の組織から生まれる。ダイバーシティを実現した結果として、バリューワークが行われる。ただし、女性や外国人を積極的に雇用・登用とすればダイバーシティが実現し、仕事の価値も上がるというものではないことには注意が必要だ。繰り返すが、ダイバーシティとは「組織に多様な強みがある状態」のことである。だから、女性や外国人の雇用・登用を進めるだけでは、何の成果にもつながらない。もちろん、雇用される女性や外国人の側にも「自らの強みは何か」を考え、自覚し、それを発揮しようとする努力が求められる。

●標準化をやめよ

それぞれの強みに焦点を当て、その強みを発揮してもらうというのは、取りも直さず、「基準や標準をもとにした評価・処遇・育成をやめる」ということだ。階層別や職種別に等級基準・評価基準を作成し、それとの比較で評価して昇格や昇給を決めたり、基準にもとづいて研修を行ったりすると、皆が等級基準・評価基準を意識するようになり、そこに記述されているありようや行動にコミットするようになる。等級基準や評価基準は、「違い」を容認しない。そのうち個性や強みを忘れるようになり、同質化が進んでいく。当然ながら、バリューワーカーは減っていく。「基準や標準をもとにした評価・処遇・育成」は、ダイバーシティの促進と矛盾しており、その結果として仕事の価値を低下させていることに、気づかねばならない。

「評価や処遇には、基準が必要だ」というのは思い込みである。

そもそも評価の目的は、三つある。一つ目は適切な処遇(給与・賞与など)の決定であり、二つ目は成長促進、三つ目はモチベーションの向上だ。したがって、これらが実現するのであれば、手段は「基準にもとづく評価」でなくても構わない。また、これら3つの目的の実現に寄与していないのであれば(そう感じている企業が多いと思うが)、基準による評価という手段が間違っているか、どこかに無理があると考えるのが普通だ。そして実際、3つの目的をかなえるのに、等級基準や評価基準も、基準による評価も不要である。

一つ目の目的である「適切な処遇の決定」は、予算配分と同じような方法で可能だ。期初に部門ごとに事業で使う費用・投資額を決定するのと同様、部門ごとに人件費総額を割り当て、個別の配分額(誰をいくらにするか)や配分方法は部門長に一任する。点数やランクもつけない。そして、そのプロセスや結果には経営も人事部も関与しない。部門長の判断に対する不満も出るだろうが、そのような時にだけ関与・調整できるように「不服審査」の仕組みを備えておけばよい。

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長 /一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

「高齢社会、高齢期のライフスタイル」と「組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革など」)をテーマとした講演を行っています。

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