「MBO」のイニシアティブをとるは果たして人事なのか?

画像: Loco Steve

2018.03.02

経営・マネジメント

「MBO」のイニシアティブをとるは果たして人事なのか?

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

現在、季節柄、多くの企業で、来期の目標値を決め、来期の戦略を練っている。多かれ少なかれ、「MBO」的なアプローチの中で、目標と戦略を決めていることだろう。「MBO」のイニシアティブをとるは果たして人事なのか?

評価がメインゆえに、人事部門がイニシアティブをとり、プロセスを実施していくのだが、いかんせん、組織の向かう方向性や組織の掲げる大きな目標に対する戦略といった点では門外漢のため、内容について何もフィードバックすることができない。

なので、よくある「目標・戦略キックオフイベント」的なものが企画され、資料が人事のもとに集められる。イベントでは企業のトップも参加するため、形式的な部分に注意が払われ、「イベントを乗り切る」ことが参加者の最大目標になる。人事では、戦略の内容にまでは踏み込めないために、集まった資料をもとにイベントが開催され、形式的に終わる。

そして、やがてはせっかく作られた戦略は引き出しのなかにしまわれ、時には目標すら忘れ去られる。

これでは、「業績管理」もままならなくなるのは明らかだ。

ポイントとなるのは、やはり「戦略」が適切かどうかであり、目標達成のために、個人レベルでは何を行い、チーム・組織では何がサポートできるかが問題となる。

特に営業系の「MBO」は、売り上げや利益の達成が中心となるが、この成果は営業だけで達成できるものではない。宣伝や販促、企画部門や開発部門のサポートなど、様々な部門の施策や企画が連携してはじめて達成できるものだ。

営業系の「MBO」は、そうした機能を統括でき、かつ有効なアドバイス、サポートができる部門が支援しなければ到底できるものではないだろう。せめて、マーケティングにかかわる部門がイニシアティブをとる必要があるのではないだろうか。

ブランディングはむしろ内側

もうひとつ、企業のブランディングを考えた場合、実は社内に対するブランディングが非常に重要だ。しかし、多くの企業において、社員、スタッフが自社に対して抱くブランドは、個々人において驚くほど違っている。

原因のひとつは、トップからのメッセージが非常にわかりにくかったり、論旨に矛盾があったりすることだ。

実際に、トップが打ち出すメッセージを、ブランディングを意識して社外の専門スタッフと一緒につくるなどといったことは、コンサルティング会社と付き合いのある大企業では一部あるものの、中小企業においてはほぼないと言っていいだろう。

Webや会社案内、広告など、社外へのメッセージには非常にこだわったとしても、社内に対するメッセージには無頓着なことが多い。トップのメッセージすら、様々な理解がある中では、ブランディングの統一はままならない。

社外に対しても、社内に対しても、統一されたメッセージができるのは、多くの企業において、やはりマーケティングにかかわる部門となるだろう。

組織に求められる機能が複雑化し、これまでの職種の範囲では、到底カバーできない状況が現在起きていると言ってもいいのだろう。

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