今更だけどアグネス・ラム論。

2018.02.08

営業・マーケティング

今更だけどアグネス・ラム論。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

50歳を過ぎている男なら一度はお世話になっているはずである。初来日は1975年3月というから中学2年生の春である。「アグネス・ラム」は、なんといっても女神である。

桜田淳子とか、山口百恵とか、せいぜい松田聖子とかの時代である。性に目覚めた男の子たちにとっては、ハワイからの黒船来襲だった。


斜陽産業といわれるパチンコ業界。そのパチンコの売り上げを下支えしているのは、その50代以上の世代である。機種を特定するなら「海物語」。リーチになると、魚群やマリンちゃんが登場してくる例のやつである。


この「海物語シリーズ」は、お化け機種である。そのパチンコ店が儲かっているかどうかは、4円パチンコの「海物語」の島を見ればわかるというのが業界の常識だったりする。


その中でも特に人気なのがマリンちゃんの代わりに「アグネス・ラム」が登場してくるCRA大海物語スペシャルWithアグネス・ラムである。こんなところでアグネス・ラムは現役なのである。未だに、おっさん達は、タマをとられている。50代以上のオッさんたちにとっての「ビキニ」とか「くびれ」とかの原体験は、この御方である。それ以上でもそれ以下でもない。唯一の欠点は、「雨あがりのダウンタウン♪」歌がヘッタクソだったことだけである。


アメリカ文化に完全制圧された私達。。。

映画「ロッキー」や「ジョーズ」も、ちゃんと観た。案の定、スーパーカーブームにもかぶれた。マクドナルドが京都に出店したのも、ちょうどこの頃。はじめて飲んだマックシェイクバニラの味は、いまも忘れられない。。。ワタシたちオッさんは、あの頃に、一度、アメリカ文化に完全制圧されているのである。アグネス・ラムは、その最終兵器だったのである。



文字通り「撃チン」した。
勝てない。
勝てるわけがない。

乗り込んできたアメリカ文化に飲まれ続けた経験しかない我々オッさんが言うところの「グローバル戦略」になんてたかが知れている。あの頃の怨念や大国への反発などを動機としたオッさんたちの世界戦略などうまくいくわけがない。


国がある。企業がある。家庭がある。アグネス・ラムに心酔したオッさんたちの「自由」は、その根っこがあってこそである。女性への憧れや性への期待も、そういう根っこがあってこその夢想である。帰るところがあっての約束事を前提とした「自由」と「行動」。アグネス・ラム体験以降、ワタシ達オッさんは、アイデンティティを常に揺さぶられている。


で、どうやらいまどきの10代の「自由」は、そんなものではないらしい。生まれた時からスマホを使いこなす世代の「未来」は、ワタシたちが思う以上にシャープである。


アグネス・ラムよりも大きな黒船が襲来している。
またまた波に飲まれるしかないのか!?
「にんげんだもの」「話せばわかる」なんて誤魔化してはいられない潮目がやってきている。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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