吉崎誠二の「データで読み解く、不動産市況のいま⑥ 」【老舗・永続企業になるための不動産戦略~なぜ、不動産を所有する企業が増えているのか?~】

2017.11.22

IT・WEB

吉崎誠二の「データで読み解く、不動産市況のいま⑥ 」【老舗・永続企業になるための不動産戦略~なぜ、不動産を所有する企業が増えているのか?~】

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銀座の中央通りから日本橋にかけてあるくと、昔からの名のある企業の暖簾が多く目に入ります。 こうしたいわゆる老舗企業と呼ばれる企業が超一等地にある大きなビルの1階に店を構えています。「銀座の一等地でさぞかし、家賃が高いだろうな」と思いながら、その店先から目を上にやると大きなビルがそびえています。店舗を構える企業が所有しているビルのようです。店舗の売り上げの何十倍ものビルの賃料収益があるように思えます。 どれくらい長く続く永続企業の事を老舗企業と呼ぶのでしょうか?その定義はあいまいなようですが、同族企業ならば、少なくとも祖父、父、子の親子三代50年以上続くかなければ老舗とは呼びにくいと思います。 企業が50年以上続くために、必要なこととして、産業のライフサイクを乗り越えるということがあります。

ある企業が創業するとして、たいていそのビジネスは現在の(その時の)時流にあったものが大半です。例えば、2017年のいま、これから海苔や鰹節の製造販売業を始める方は少ないと思います。しかし、かつては多くのこうした日常生活に欠かせない物の製造販売業は多く見られました。
その後、産業のライフサイクルの変化とともに、海外企業や郊外企業に製造の中心は移っていき、企業統合、廃業などが増えます。
そんな中でリーダー格の企業は変化する業界の中にあっても牽引役として業界の革新に邁進したからこそ、老舗企業として生き残って現在も確固たる地位を維持し続けているのだと思います。誰にも止められない産業のライフサイクルの動きに打ち勝つには、常に変化・進化が求められます。

しかし、そんな企業にも、苦しかった時期があったと思います。売り上げが伸びない、利益が伸びない・・。

私の知り合いの経営者でテーラーを営む方がいらっしゃいます。テーラーは、かつて「背広屋」と言われていたような、「仕立て屋さん」です。ここ数年、再び脚光を浴びるテーラー業界ですが、郊外量販店(洋服の〇〇のような)や2プライスショップなどに押されて、1990年代後半ごろから廃業が相次ぎました。
その企業は業界を代表する老舗企業であり、多くの顧客を抱えていましたが、売り上げがかなり落ち込み苦戦をしておられました。ま
た、この企業は駅前一等地に9階建てのビルを所有し、1~2階が店舗で、9階がオフィス、他の階は賃貸していました。

関係する方からの紹介で初めてお会いした際にこんな話をされました。

「相当、売り上げが下がり、赤字が続いているので、廃業しようかどうか悩んでいる。ここ数年赤字が続いているけれど、自社が所有するビルの賃料のおかげでなんとか持ちこたえてきた。この賃料のおかげで、この後も企業の存続はできるが、このまま続けてもテーラーのビジネス的には厳しいのではと思う。なにかいい方法はないですか?」 というような内容でした。

私は、廃業することはなく、テーラービジネスの業績回復を目指しましょうとアドバイスをしました。
その声に応えていただき、ビジネスモデルを革新し、経営者の方をはじめ従業員が懸命に努力をされたおかげで、そのご業績は回復し、現在は規模を拡大して経営されています。しかし、改革の後も2~3年は苦しい時が続きました。その間、財務的に経営を支えたのは賃料収入でした。

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