安倍内閣改造後支持率と格闘技視聴率

2017.08.08

組織・人材

安倍内閣改造後支持率と格闘技視聴率

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

改造後の内閣支持率は44%を超えたとのこと。少なくとも政権浮揚に改造の効果は出ているようです。もっともこの先この水準が維持できるかどうかは全く別物で、むしろスキャンダルなどは発足した後でばらばら出始め、政権の足腰を弱めていきます。まだまだ政権として、安心できるものではないのでしょう。ただし、8ポイント以上の支持率回復という数字は認められるべきで、目標達成は今の時点で成功とみるべきです。

一方かつて日本を席巻した総合格闘技を今一度復権しようと、ほぼ近い時期にフジテレビで放映されたRIZINは、同時刻帯視聴率では全局最低の6.3%だったそうです。絶対的な視聴率としても、時間帯での順位としても厳しい結果です。もちろん現在ブームとはいえない中で、何とか注目を集めようと躍起な立場ゆえ、こちらの方がハンデがあるのも事実。ただ、全く別の存在である内閣支持率と番組視聴率ですが、それぞれが発しているメッセージに、コミュニケーション戦略の違いがあります。


・安倍新内閣のメッセージ
組閣前に噂された、政権浮揚策は人気者の起用でした。橋下元市長、小泉孝太郎衆院議員、三原じゅん子参院議員などの有名人が入閣候補であるという報道はけっこう見られましたが、結果としていずれも実現せず、人気者のような大臣枠は無いようです。反主流派の野田聖子氏が要職に就いたことは注目されますが、元々大物政治家であって、人気取り枠とはいえないでしょう。

もし人気頼みで有名人を登用していたら、目論み通り人気は得られたでしょうか?逆に批判の声が上がり、ここまで高支持率出たかどうかは不明です。少なくとも「人気頼みではない」というメッセージ発信は成功だと感じます。あくまでスキャンダルなどが出てこない限り、ですが。

野田氏始め反主流派をも取り込み、派閥による入閣待望組の順送りのようなイメージが薄れ、挙党体制の具現化ができました。面白みのない顔ぶれという批判リスクを冒しても、政務に取り組む姿勢での誠実さをアピールできたことが成功といえる理由です。現在の安倍内閣が攻めではなく、人気急落という守りの戦略が必要な環境にいると考えるなら的を得ています。


・格闘技の煽り映像
有名タレント・野沢直子さんの娘、真珠・オークライヤー選手のテレビデビューとなった総合格闘技番組RIZINは、話題性からもオークライヤー選手を大きくフィーチャーしました。いつごろからか格闘技番組は、本試合より事前の煽りV等とも呼ばれるプロフィールやエピソード解説の映像が大きく重要視され、試合時間より煽り映像の方が長いような逆転まで起こりました。

しかし格闘技の核心は当然試合そのもの。煽り映像ではありません。いくら話題性のためとはいえ、選手より有名人である家族の方が大きく取り上げられたり、選手以上に目立ってしまっては格闘技のおもしろさの邪魔になるはずです。また人気や知名度のある選手を目立たせるためでは?と疑われるカードも、観客が疑問を感じてしまうようでは主客転倒です。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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