AI時代の職業選びの難しさ

画像: leesean

2017.07.19

ライフ・ソーシャル

AI時代の職業選びの難しさ

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

AIによる代替が進むこれからの時代、人手不足だからといって安泰な職業はごく少ない。よほど先を見て選ばないといけないと分かっていても現実的には難しい。いっそ特定の「職業」ではなく、将来求められる能力を開発できるか否かといった側面に視点を置いたほうがよいのかも知れない。

例えばAIを効果的に使って取引先と密接につながることで収入を大幅にアップできる、新しいタイプの農家や漁師かも知れないし、彼らにアイディアと仕組みを提供して最適な市場を次々に展開する新職業の人たち(「〇〇コーディネータ」とでも呼ばれる?)が大勢出てくるのかも知れない。

いずれにせよ、今ある職業を通じて開発された能力をベースに、AIを使いこなす「新しい仕事パターン」を開発することに取り組んだ人たちだけが、いち早くそのポジションに到達できるのだ。

そうしたことを考えると、各地の大学では、旧来型の職業を前提にした授業やゼミばかりではなく、地元の企業や住民を巻き込んで、こうした新しいやり方を率先垂範して試行する動きが今以上に求められるのではないか(実際、すでに幾つかの大学では小規模ながら取り組んでいる)。

たとえゼミや授業でトライした結果が失敗やショボい成果だろうと、そうした経験と意欲がある人たちこそが、企業や地元社会が求める人材である。社会の仕組みが変わっても対応できるだけの能力基盤が育まれているのだから。

そのためには企業側も即効性の研究成果ばかりでなく、人材育成の場としての大学に資金や協業の場を提供してもらいたい。是非、大学関係者と企業関係者はご一考を。

PS ちなみに、今現在もてはやされている職業の一つに、ビッグデータを解析し仮説を生み出す、データ・サイエンティストという人たちがいるが、AIがレベルアップすると代替される第一候補の一つとも云われる。最先端のコンピュータサイエンス絡みの花形職業でありながらこうした事態さえ生じるのが、この分野の怖さだ。もちろんデータ・サイエンティストたちも(多分)それは意識しており、この先数年以内に次のレベルにステップアップすることを目論んでいるに違いない。
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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。新規事業の開発・推進、そして既存事業の収益改善を主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/               弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashinban/            最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

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