企業内起業家(イントラプレナー)という矛盾した存在の働き方

2017.07.04

経営・マネジメント

企業内起業家(イントラプレナー)という矛盾した存在の働き方

小倉 正嗣
株式会社リアルコネクト 代表取締役

企業の内部で新規事業などの立ち上げをミッションとした、企業内起業家(イントラプレナー)という存在。企業内で起業をするという無理難題にいかにして向き合うべきなのだろうか。新規事業を専門とするコンサルタントの目線で考えてみた。


【企業内で業を起こす存在の難しさ】

さてそれでは、企業内起業家(イントラプレナー)はどうすべきなのだろうか。

企業内起業家は、企業内で新規事業の立ち上げを求められる存在。概ね起業家と同程度かそれ以上のリテラシーが必要なビジネス領域だ。

一方で、企業内のサラリーマンであるのも事実。労働基準法に守られ、雇用保険に守られ、今はワークライフバランスに追従することが求められる立場でもある。

ワークライフバランスをとって、決められた労働時間の枠の中で、仕事をし、仕事の充実と生活の充実を共に目指すべきなのだろうか?それとも、起業家として寝食忘れ、成功を目指し、休む暇なく働くことが必要なのか?

企業内起業家は、どこまで企業内であることを優先すべきか、どこまで起業家として時間など忘れ、没頭し、死に物狂いをやらなければならないのか。

企業内と起業家。明らかに共存できない両者が共存する矛盾した存在こそが、企業内起業家である。

新規事業開発の支援を主戦場とする私にとっても、極めて難しい問題だ。

労働時間の考え方は会社によって、経営者によってバラバラだし、新規事業への思いも、担当によって、ポジションによってバラバラだろう。こうすべきと言う具体的な指針が社内から発せられることは考えにくい。

ただ、私が考える企業内起業家の働き方に対しての解ならある。


【イントラプレナーの働き方のあるべき姿】

それは、どんなポジションであれ、企業内起業家を目指した時点で、プロセスへのコミットをする業務スタイルから、結果にコミットする仕事のスタイルに変えないといけないと言うことだ。

既存のビジネスの仕組みを回す業務においては、すでに仕事は確立され、明確な役割分担がある。その役割を頑張ったかどうかは、何時間仕事をしたかとか、何個作ったか、何件処理をしたか、のようなプロセスの数字で成果を計測することが可能だろう。プロセスをこなす事を効率的に行い、早く帰れば良い。

一方で、新規事業の立ち上げのフェーズにおいては、何個作ろうが、何時間やろうが、プロセスは関係ない。早期に立ち上げ、売り上げと利益を生み出す以外に求められる答えは無いのだ。事業を創り出す仕事に就く以上、残念ながらプロセスでいくら頑張っても評価を得ることは出来ない。

企業の内であれ、外であれ、起業家を名乗る以上、プロセス評価を求めることは許されない。結果のみを追い求めて行くべきだ。厳しい言い方になるが、立ち上がらない新規事業は、価値を生み出せていないと言う誹りを受けるだろう。

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小倉 正嗣

株式会社リアルコネクト 代表取締役

【自己紹介】 BtoB営業組織改革・新規事業開発を専門とするコンサルタント。新規事業企画担当者・営業マネージャー・B2Bマーケッター・営業マン向けのセミナー/研修/ワークショップの講師・ファシリテーターを中心に営業組織改革、新規事業開発支援等のコンサルティングを行っている。 【保有資格】 中小企業診断士・経営管理修士(MBA)・日本酒利酒師

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