ものごとのとらえ方[3]~信念に生きる・信念に死す

画像: Yasushi Sakaishi @ Lanta Design

2017.01.03

ライフ・ソーシャル

ものごとのとらえ方[3]~信念に生きる・信念に死す

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

14歳から大人まで 生きることの根っこをかんがえる『ふだんの哲学』シリーズ 〈第7章|意志・こころ〉第3話

信念が与えるこの方向性はあなたの個性であり、能力をその方向へ集中させる重要なはたらきをします。その意味で、信念が明確で強い人ほど、なにかを成し遂げる可能性は高いといえます。逆に信念があいまいで弱い人は、ほどほどのことしかできないかもしれません。言い方を変えると、なにかを成し遂げようとすれば、いやがうえにもそこに懸ける信念は強くなるということです。信念が強いことと、夢や志を抱きやすいこととは無関係ではありません。

さて、〈考える材料〉に移りましょう。この2つの例は、信念というものが起こす力の大きさを示しています。

キング牧師は黒人の解放運動に身を捧げました。彼には巌(いわお)のごとき信念があった。「生まれつきの肌の色の違いだけでこのような差別がこの世界にあってはならない」と。彼の信念の叫びは、「I Have a Dream.」の演説となって表れ、人道主義・非暴力の運動となって表れました。こうした革命的な指導者はだれでもそうですが、命の保障はありません。そしてそのとおり、キング牧師は暗殺されました。

そしてもう一方のテロ事件の例。ハイジャック犯たちは、最初から自分の命を捨てて航空機ごとビルに突っ込む計画でした。彼らにとって、それは「聖戦」と呼ばれるもので、みずからが信ずる宗教の原理を貫くための行為でした。彼らは信念のために死ぬことをまったくいとわなかったのです。

これらの事例は、かたや黒人解放に捧げた崇高な生き方の話であり、かたや無惨きわまりない大量殺人の話(しかし犯人たちにとっては、これは罪などではなく、むしろ崇高な戦いであると思っているところが問題の複雑なところ)です。この2つはまったく対照的な話のように思われますが、ある点ではまったく共通しています。それは、「きわめて強い信念が、きわめて強い行動を生み出す」ということ。そして「人は信念に生き、信念のために死ねる動物である」こと。


こう聞くと、信念は怖いものだと思うかもしれません。だから、信念はゆるいものにしておこうと思うかもしれません。しかし、そういうことではありません。人間の歴史を振り返って、いかに強い信念が夢や志となって大きなことを成就させてきたか。また、いかに多様な主義や思想がこの世の中を進展させてきたか。いかに深い信仰が多くの人の心を癒やし、高めてきたか。そうした揺るぎない事実は無視できません。ほんとうに満足のいく人生は信念とともにあり、ほんとうに豊かな社会は個々の信念の融合で生まれます。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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