コンセプチュアル思考〈第9回〉 概念をモデル化する

画像: Career Portrait Consulting

2016.06.02

組織・人材

コンセプチュアル思考〈第9回〉 概念をモデル化する

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

概念を起こす力・意味を与える力・観をつくる力を養う『コンセプチュアル思考』のウェブ講義シリーズ

次にそこから抽象に入ります。作業2の欄は次のような記載になっています。

【作業2】「成長」の定義
「成長とは何か」「成長についての解釈」を自分なりの言葉で表すとどうなりますか……

このステップでは、「成長」というものがはらむ本質的な要素を自分なりに引き抜いてくることが求められます。豊かに経験をたくわえ、深い洞察ができる人ほどコンセプチュアルに考える力は強くなります。そして次のステップがメインの作業になります。

【作業3】 「成長」の絵図化
作業2の定義をふまえて、「成長とはどういうものであるか」を図や絵で表わしてみてください。

物事の構造や仕組みを単純化して図的に表現する。これをコンセプチュアル思考では「モデル化」と言っています。さて、実際の研修ではどんなモデル図が出てくるでしょうか。

◆人それぞれの「成長」のモデル化
以下に受講者の方々が研修・ワークショップで描いた「成長とは何か」のモデル図をいくつか紹介します。なお、概念を図的に表現する手法は別途講義で学んでいます。



◆抽象観念を具体的行動へ移すことが大事
こうして描いた「成長」のモデル図は、いわば抽象観念です。それを頭の中で終わらせるのではなく、現実生活の行動に移していくことが重要です。そこで次にくるワークが―――

【作業4】「成長」を促すための行動習慣3箇条
成長を持続的に起こすための行動習慣としてどのようなものが考えられるでしょう。 3箇条にしてあげてみましょう。

行動が「コンセプチュアル思考」においてなぜ大事か。それは具体的行動を起こすことによって、いろいろなフィードバック(他者の反応や経験知の蓄積など)が起こるからです。そしてまた、新たな抽象化が始まり、概念化が始まる。そうやって「πの字思考」の回路をぐるぐると回ることにより、「観」(ここでは成長観)というものが堅固に醸成されていくわけです。


コンセプチュアル思考は、概念を起こす思考であり、意や観をつくる思考です。ある物事に対し、辞書/事典の定義を覚えることは簡単です。

そうした客観を超えて、どうその人なりに主観的・意志的な物事の定義を持つか、概念モデル化するかが、強く生きていくためには重要です。「世の中に事実はない。ただ解釈があるのみ」(ニーチェ)という言葉があるように、結局、私たちは自身が養うものの見方(=観)で生きる世界を決めていくからです。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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