脱ジェネリック&原点回帰のアイリスオーヤマが目指す“次の家電戦略”

画像: KamiharaSally

2016.01.12

営業・マーケティング

脱ジェネリック&原点回帰のアイリスオーヤマが目指す“次の家電戦略”

神原 サリー
株式会社神原サリー事務所 代表取締役/顧客視点アドバイザー

 2009年に家電分野に参入した生活用品大手のアイリスオーヤマ。シャープやパナソニックを辞めた技術者を積極的に採用し、大手家電メーカーの後を追いかけ始めた同社だが、昨年後半から、家電づくりに対する姿勢の変化が起き始めている。そのキーワードは「原点回帰」と「脱ジェネリック」。参入からわずか6年ほどで原点回帰という言葉を持ち出すアイリスオーヤマの家電戦略とは?

2015年からホームセンターで展開する「家電モール」

 脱ジェネリックを図り、多機能&高価格からの修正を経ての「なるほど家電」。大手家電メーカーの家電を模したような家電ばかりでは応援する気持ちになりづらいが、家電参入からわずかな期間でこうして軌道修正を行い、生活者に寄り添った開発をしていこうとする様子は注目に値する。

 もう1つ、同社の強みはアイリスグループに「ユニディ」などホームセンターを展開するユニリビングを持ち、売り場提案をしっかりとできることがある。2015年から全国のホームセンターを対象にした始めた「家電モール」というサービスでは、同社の家電製品に関する什器やPOPを含めた売り場のコーディネートを行ない、専任の販売員を1人付けるという取り組みも始めている。接客を通じて得た顧客からの意見をフィードバックすることにもつながるため、販売と商品開発の両面で武器になることだろう。

 パナソニックやシャープに続いて、東芝の家電部門の存続が危ぶまれており、大量の退職者が出ることも考えられる。その受皿としてアイリスオーヤマが控えているのは歴然としている。ブレない視点で、独自の商品開発にさらに本気を出してきたとき、日本の家電業界の勢力図が全く異なるものになることもありうるのではないか。

 だからこそ、家電メーカー各社には、デザイン面や突出した技術力などに磨きをかけて、踏ん張ってほしいと願うばかりだ。

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神原 サリー

株式会社神原サリー事務所 代表取締役/顧客視点アドバイザー

新聞社勤務を経て、フリーランス・ライターに転身。マーケティング会社での企画・広報などを兼務した後、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立し、2008年に株式会社神原サリー事務所を設立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」ことをモットーに顧客視点でのマーケティングを提案している。

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