窮鳥は懐に飛び込むのか?:コンパクトデジカメの生き残り

2011.09.06

営業・マーケティング

窮鳥は懐に飛び込むのか?:コンパクトデジカメの生き残り

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 9月6日付・日本経済新聞の新製品情報に一つのデジタルカメラの発売が掲載された。何気ない記事だが実はそこにはデジカメの未来が隠されているのである。

 新製品は22日発売予定のパナソニック「LUMIX DMC-FX90」。記事タイトルに「写真、スマホに直接送信」「本体に無線LANの通信機能を搭載」とある。今までも無線LAN対応の機種は存在した。今回の製品の眼目はスマホと連動させるという発想である。

 製品、及び製品カテゴリの製品の市場への浸透状況は、導入期→成長期→成熟期→衰退期という普及過程(プロダクトライフサイクル)を辿る。製品が市場の潜在顧客の大部分に行き渡った段階である成熟期においては、ブランドや製品バリエーションが多様化すると同時に価格競争が熾烈化する。やがて競争に敗れた弱いブランドが脱落していき、衰退期に至ることになる。
 コンパクトデジカメ市場はもはや衰退期に突入したとも考えられる。昨年11月に同紙が報じた関連記事によれば<2010年9月の(コンパクトデジカメの)平均単価は1万8400円(税抜き)で前年同月比22%下がった。デジカメ全体(12%下落)と比べて値下がり幅が大きい>としている。

 衰退に至る理由はいくつかある。1つはデジカメ市場のアッパーモデルに需要がシフトしていることだ。フィルム代やプリント代から解放されて、写真を撮るという行為はより身近になった。劇的にショット数は増加。(ナゼならタダで撮影はできるからだ)。多くのモノゴトで技量は練習量に比例して向上するのと同じで、写真も撮り慣れることでうまくなる。すると、「よりキレイに本格的に写真を撮りたい」というニーズが発生する。すると、一眼デジカメに移行する。「そこまで本格的にやるつもりはないし、一眼デジカメは重いし」という層も、小型の「ミラーレス一眼」がすくい取っている。ミラーレスならレンズが大きくて本体から飛び出しているが(レンズの大きさがある程度写真のキレイさを決めるので、それはしかたがない)、それ以外はコンパクトデジカメと大きさもさほど変わらず、操作も極めて簡便だ。
 もう一つ大きいのは、スマホ市場の拡大だ。もともと、ケータイに搭載されたカメラの機能が向上し、コンパクトデジカメと変わらないようなレベルになってきてはいた。しかし、スマホになってより使い勝手が向上したのだ。タッチスクリーンで撮影し、撮影済み画像を閲覧する時の使い勝手は従来の「ガラケー」といわれる携帯電話の比ではない。そして、撮影した写真はすぐさまmix、TwitterやFacebookなどのSNSにアップできるという手軽さだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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