3月11日の東日本大震災により、地元宮城県は大きな被害を受けました。親族・知人友人も亡くなり、事業を停止した企業も多くあります。 そして、最近のIT関連企業のBCPビジネスには若干の疑問がありまして。
BRMから考えても良いのですが、様々なリスクが存在していると仮定して、それが会社事業にどれだけの影響を与えるものなのかを考えておかなければ、対策の立てようもありません。
今回の地震被害については、M9.0という地震は発生しないというところがスタートラインですので、その範囲内での災害対策を計画したところで発動できないという事態になっています。
逆に、次の直下型地震は、立川市を震源にしたものか、三浦半島を震源にしたものになるのではないかという報告(政府「地震調査委員会」発表)がありますし、東南海地震が連鎖的に発生すれば津波の高さが20m級ということで、対策の取りようがないのではないかという発表もされており、「被害想定」がそもそも事業継続できないものとなってしまえば、BCP(事業継続計画)における災害対策は無意味なものになってしまいます。
以上の点から、BCP(事業継続計画)にお金をかけることに意味や意義を見出す経営者というのが減っていくことが考えられます。
会社が無くなる、顧客もいなくなることが想定されるような「被害想定」に基づいて、事業を継続することに意味はないと考えるのが普通だと思います。
◆ BCP(事業継続計画)は、経営者のためではなく、従業員のためにある
ここで問題になるのが、M6.0~M8.0クラスの地震が発生した場合の対策ということになります。
経営者は、会社を一度畳んででも、国の助成金を受けつつ再開することが可能です。一度全社員を解雇してでも、それまでの経験や繋がりで事業を再開することができるわけです。
しかし従業員は違います。会社が無くなり、働く場所が無くなり、失業者が増えることによって次の仕事が見つからなければ生活設計ができなくなります。
それが、大規模災害ではなく中規模なもので、企業によって被災状況が異なるような状況にあり、自分(達)だけが被災してしまうようなことは避けなければなりません。
結果として、自分自身と家族を守るための対策を考えないといけないということになります。
この点においては、BCP(事業継続計画)は経営者によるTOPダウンで行われるものではなく、従業員が自分自身の生活を守るために行うべきものではないかということになります。
結果として、BCP(事業継続計画)に関心を持つべきは経営者であることは間違いないのですが、それ以前に、社員一人一人が関心をもっていなければならないと考えるのです。
※ 次回は、BCP(事業継続計画)と災害対策マニュアルの違いについて
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BCP/BCM
2012.10.18
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