3月11日の東日本大震災により、地元宮城県は大きな被害を受けました。親族・知人友人も亡くなり、事業を停止した企業も多くあります。 そして、最近のIT関連企業のBCPビジネスには若干の疑問がありまして。
BCP(事業継続計画)というフレーズは、最近の新聞・雑誌・WEBサイトやIT関連企業の新規サービスでとても多く目にするキーワードとなりました。
私自身の会社も、2009年の新型インフルエンザ発生前よりBCP(事業継続計画)策定の必要性を訴えてきていますが、正直、事業の中核にはならない程度のものでしかありません。
元々日本経済において「リスクマネジメント」は儲からないものですので、あまり気にしても仕方ないのですが、損害保険のオプションやITソリューションの一部のような位置づけにあること自体には疑問を持っています。
◆ BCP(事業継続計画)の前に、リスクマネジメントについて考える
一般的にはBRM(ビジネスリスクマネジメント-TM)という考え方がありまして、災害対策だけではなく、事業を継続する上で企業が抱えるリスクというものが広範に知られています。
今の円高や、情報漏洩、社内での不正行為など全てが経営上のリスクであり、それらに対応することが事業継続の上でとても重要であるとされています。
当社で提供しているコンプライアンスやガバナンスの取り組みも、日本国の法令に対応する組織とルールが明文化され社内で共有されているかという点を確認し、是正していく支援ですので、災害だけに関心があるわけではなく、外部環境からのインパクトだけではなく事業運営上のあらゆるリスクを回避するための取り組みとしています。
では、BCP(事業継続計画)とはどのような位置づけにあるものなのでしょうか。
◆ BCP(事業継続計画)の有効性は「被害想定」次第なので
BCP(事業継続計画)を策定したいと相談を頂く企業各社には、まずBRMの理解をお願いしています。
BCP(事業継続計画)をいきなり策定しても、時間がかかるだけで、得るものは「冊子」と「避難訓練」そしてわずかながらの「備蓄品」しかありませんので、それらの本当の必要性を理解頂くために「リスクマネジメント」そのものを理解して頂くようにとお願いしています。
加えて、地元宮城県の被災状況を見る限り、また3月中旬に被災地に支援物資を持って帰省し見てきた光景からして、BCP(事業継続計画)の策定を支援している私自身が、BCPに懐疑的になっていることもあり、事業を継続するということそのものの意味を考える必要があるのではないかと考えています。
そもそも、BCP(事業継続計画)で重要になるのは「被害想定」です。
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BCP/BCM
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