なぜハーバード大学サンデル教授の講義は白熱するのか?

2010.11.02

仕事術

なぜハーバード大学サンデル教授の講義は白熱するのか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の著書『これから「正義」の話をしよう』は、30万部を越えるベストセラーとなった。さらに、サンデル教授の講義は、「ハーバード白熱教室」と名付けられ、こちらも話題となっている。

真っ先に手をあげたり、質問にすぐ答えたがる生徒にろくな意見はない。自分の言いたいことを意見するだけで、「考える」に値しない。むしろ、とまどい、躊躇し、自信なげな生徒の意見に、その場を白熱させる意見があるという・・・。これって、実際の企業の会議などでに当てはめてみても正しいっ。

昔から言いたかったことが正義ではなく・・・
いま考えたこと、考えているプロセスに、正義はある。
クリアカットされた言葉に発見はなく・・・
いま考えて紡ぎ出された言葉にこそ、発見がある。

白熱教室で交わされる意見や言葉は、その場で生み出されたものである。その場で発見された言葉が行き交うから、白熱するのだ。

プレゼンでも同じことである。成功するプレゼンには、ひとつの法則がある。それは、良いプレゼンほど、プレゼン後の、質疑応答時間が盛り上がるということである。プレゼンのストーリーにはない質疑で、どんな言葉や意見を自分の中で発見できるか。その手応えがあれはあるほど、プレゼンは、白熱し成功確率は、高くなる。企業の会議でも、毎回手を挙げて発言する輩の意見よりも・・・真面目な社員のつぶやくような意見の方が役に立つことも多々ある。

意見を言いたい人達の意見を拾う方が、一見、会議は白熱しそうだが・・・そこに生まれてくるのは、どちらが正しいかという議論である。そこに、新しい発見は生まれず・・・ごり押しがまかり通る。正しい者の混迷がいちばんやっかいである。だから、私達がいちばん賢いと考えている官僚が紡いだ言葉を繰り返し、ごり押しする国会には、正義はない。哲学はない。
大きな声で手を挙げた輩が偉いという風潮。
ずっと手を挙げ続けている輩が国家の代表になる風習。
そんなものが時代遅れであることを、マイケル・サンデル教授の白熱教室は、教えてくれている。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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