先日、北京に行きました。中国ビジネスの進化は予想以上の早さで進んでいます。私が感じている中国ビジネスのミスマッチを10回連載でお届けします。中国の外貨準備高は世界一。今年から中国政府は輸入促進政策を展開しています。
1. 輸出と輸入のミスマッチ
中国の外貨準備高は昨年2月に日本を抜いて世界一になった。今年6月末の中国の外貨準備高は1兆3326億ドルで、前年比41・6%増。同時期の日本の外貨準備高は9135億7200万ドルであり、依然として中国が大幅に上回っている。
日本も80年代初頭に貿易黒字問題が起き、貿易黒字緩和のために輸入促進政策を採った。現在の中国は当時の日本に重なっている。欧米先進国から人民元の切り上げと輸入促進を迫られているのだ。
今年9月、上海において第一回輸入商品博覧会が開催された。中国政府関係者は日本アパレル企業にも出展を呼びかけようとしたが、ほとんどの製品が中国製という事実にぶつかり、諦めたという。
中国から海外送金が難しかったのは過去の話。現在は個人の海外送金が1日5万ドルまで許可されている。
「世界の工場から世界の市場への変化」の中でも、日本企業の多くは、世界の工場としての中国に依存している。「チャイナ・プラスワン」という発想は、中国生産の一部を東南アジア等に移転するだけであり、基本的には日本市場ビジネスのみを対象にしている。東南アジアで生産した製品を中国市場に展開しようと考える人は少ないだろう。
中国政府はASEAN(東南アジア諸国連合)各国とのFTAに活路を見い出そうとしている。中国とASEAN各国は2005年7月に物品貿易でFTAを締結し、今年1月には「サービス貿易協定」を交わしている。今回の合意に基づき、2007年7月1日から建築、環境、運輸、スポーツなど5分野の26部門について、相手国での全額出資の現地企業の設立を認めるほか、合弁企業への出資比率引き上げを許可する。2010年までには全面的な自由貿易体制の確立をする計画だ。
中国とASEANのFTA締結は、世界の工場としての中国の市場戦略であると同時に、世界の市場としての中国の生産基地の確保でもあるのだ。
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2009.02.10
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