二つの日本初を誇るお好み焼き・千房、その人材哲学とは1

画像: othree

2010.07.20

開発秘話

二つの日本初を誇るお好み焼き・千房、その人材哲学とは1

INSIGHT NOW! 編集部
インサイトナウ株式会社

お好み焼きをメインディッシュに、フルコースのディナーを仕立てる。日本で初めて「お好み焼きディナーコース」をメニュー化した千房は、その人材募集についても日本初、驚くべきやり方に挑戦していた。

第1回 「人間必死になったら知恵は出るもんやないですか」

■ワールドカップ日本戦の夜の大繁盛

「社長、今日はあきません。お客さん来ませんわ。運の悪いことに、ワールドカップの日本対オランダ戦が、今から始まりますから」

先日、中井社長が福岡出張に出かけた折のこと。出張の帰りに天神店に顔を出すなり、店長があきらめ顔で告げた。と即座に中井社長は切り返した。

「何言うてんの、私がお店に出るからって。いつものように肩書きなしのネームプレートを付けて店の前に立ちました。もちろん呼び込みをするんです。うまいですよ、私は、呼び込みのプロやから」

実際、中井社長が店頭に立ってしばらくすると、ガラガラだった店に人が入り始め、ほどなくして満席になった。中井流呼び込みマジックの妙である。

「マジックやなんて、特別なことは何もしてません。ただ目に入る限りのお客様に、明るく元気にお声がけする。それだけです。それだけやけど徹底しますよ。よそのお客さんにでも、ありがとうございましたってあいさつするぐらいに」

たかが声かけ、されど声かけである。実際に自分が客になったつもりで想像してみよう。誰彼構わず元気に声がけしている人間がいる店からは、人好きオーラが漂ってくるのを感じるだろう。声を出す人が誰もいず、人気(ひとけ)のない店と比べてみれば、声かけの効果をより具体的に理解できるはずだ。

「うちの店の前を通りながら、サンプルにちらっと目をやるお客さんもいます。これぞチャンス、そんな人には即座にお声がけです。めちゃくちゃおいしいですよ、お待ちしてますからって。するとたいてい、一周回って他の店を見てから戻ってきてくれますね」

わざわざ引き返してくれたお客様には、すかさずドリンクをサービスする。絶妙の効果である。一連の流れを客の立場から考えてみるとどうなるか。他の店もチェックした後に、やはり声がけしてくれた千房がいいか、と帰ってきた。たったそれだけのことを歓迎し、おまけに飲み物までサービスしてくれる。十人中九人ぐらいが千房ファンになるのではないか。

「どないしたら、お客さんに喜んでもらえるやろって、それだけ考えてるんです。今日は雨が降ってるからお客さんが少ないのと違うかなって、マイナスに考えるんじゃなくて、雨の日には雨の日のやり方を考えたらええだけやないですか」

単純なプラス思考などではない。中井社長の行動と言動の原点には「いつもお客様のために」があるのだ。

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