『脱!日用雑貨。“香る”プレミアム柔軟剤の仕掛け人(後)』

2009.11.24

営業・マーケティング

『脱!日用雑貨。“香る”プレミアム柔軟剤の仕掛け人(後)』

武田 舞

日経ウーマンオンラインとINSIGHT NOW!のコラボレーション企画! 明日から使える“オンナゴコロ”をつかむマーケティングのヒントに! 大多数の消費行動を担っていると言われる女性達。 その心をつかんだ商品やサービスの仕掛人に、 オンナゴコロの仕掛け人で、 INSIGHT NOW!ビジョナリーの武田舞が直撃。

オンナゴコロの仕掛け人
『脱!日用雑貨。“香る”プレミアム柔軟剤の仕掛け人~後編~』

 花王の「ハミングフレア・フレグランスコレクション」(以降、ハミングフレア)は、柔軟剤としては通常商品の価格の約2倍。だが、アロマ・キャンドルなどの香りのファッション雑貨なら1000円以上だ。それが600円で入手できるなら、決して高過ぎることはない。

 とはいえ、調香師の高田氏はマーケティングチームの要求に頭を悩ませた。「香りは単純な足し算ではありません。Aという香りに、Bという香りを加えてハッとするほど良い香りになることがあれば、Cという香りを加えることで全く駄目になることも多く、試行錯誤を繰り返します」

 特に難しかったのは、残り香だった。ハミングフレアは、洗濯後も香りを残す機能を持たせるというのが一つのミッションだった。実は、これは両刃の剣だ。「香りを残しやすい香料素材は強い反面、質的には好まれません。強さを活かして嗜好性の高い香りに仕上げるために、そこに合わせる香りもいつもより強く使う必要がありました」。繊細な作業は苦労の連続だったが「柔軟剤で、ここまで香水に近いレベルの調香をしたことはありません。調香師冥利につきる仕事でした」。困難を楽しみに変える――。このポジティヴな思考が画期的な製品の開発につながった。

驚きを与え、気になる存在になっていくためには


準備は整った。ムッシュー・ボーニッシュは撮影用のブーケを制作する。だが、ボーニッシュ氏のこだわりと日本人グラフィック・デザイナーとのこだわりには食い違いがあった。日本人が感じる「ヨーロッパのイメージ」は、生粋のフランス人にとって理解するのに時間がかかった。何度も試作を作っては、話合いを繰り返す。
 
 ボーニッシュ氏は「日本人の目の感覚とフランス人の目の感覚は違います。両者がわがままを通しました。その結果、日本らしくなく、フランスらしくもないユニークなブーケができました」と微笑む。

 撮影は自然光のもとで行われた。「自然のものである花は撮影も自然光であるべき」と、スタッフは早朝に集合。陽光のみなぎる中、撮影された。そして、ついにできあがったのが、写真のボトルだ。

 
開発チームが一丸となって作り上げた製品。果たして女性たちはどのように受け止めてくれるのだろうか。PRにあたった電通の前田徳郎氏はいう。「コンセプトは、驚きを与え、気になる存在にすること。これにマーケティング手法を集中させました」。

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