低価格「ハンバーグ専門店」隆盛のヒミツを考える

2009.11.19

営業・マーケティング

低価格「ハンバーグ専門店」隆盛のヒミツを考える

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 外食各社が低価格「ハンバーグ専門店」の出店を加速しているという。

 <低価格「ハンバーグ専門店」続々 「薄利多売」大都市で顧客開拓>(09/11/17
Fuji Sankei Business i)
 http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200911170022a.nwc

 記事によれば< 居酒屋チェーン「甘太郎」を運営するコロワイドは、今年5月、ハンバーグ専門店「ハンバーグ大魔王」の1号店をさいたま市にオープン>、「デニーズ」などを運営するセブン&アイ・フードシステムズが<8月にハンバーグ専門店「ぐーばーぐ」を東京・四谷に出店>、<カレー店「CoCo壱番屋」を展開する壱番屋も、来年3月、ハンバーグ専門店の1号店を愛知県内に開設する計画>とまさに開店ラッシュの様子を伝えている。
 低価格の秘密は<メニューの絞り込みによる食材の一括大量購入や調理簡素化などのコスト削減で、単品価格は500円程度の低価格を実現>であるとして、節約志向を強める家族を狙うとある。そして、中華の「日高屋」、イタリアンのサイゼリアを例にして<「なんでも屋」のファミレスなどが軒並み集客に苦戦する中、ターゲットを明確にした専門店の出店が広がりそうだ>と分析している。

 しかし、そもそも、何でハンバーグなのだろうか?

 かく言う筆者も大のハンバーグ好きである。1969年から1970年まで、フジテレビ系で放映されていたタツノコプロのアニメ「ハクション大魔王」。主人公の大魔王の好物であるとして描かれていた、大皿に山盛りにされたハンバーグにあこがれたものだった。その記憶を持つ人は多いようで、前出の「ハンバーグ大魔王」のキャラクターはもろに「ハクション大魔王」で、店頭で等身大の人形が来店客を迎えている。つまり、高度成長期以来、日本人はハンバーグが大好きになっていて、もはや国民食になっているのである。記事の分析のように、ファミレスのように「何でもあります」とメニューを広げるよりも、ピンポイントでみんなが大好きなハンバーグに集中すれば食材の集中仕入れもでき、さらに廃棄率も低減できる。故に低価格で提供できて集客が見込めるという好循環が期待できるのだ。

 しかし、内食化を高める今日の消費環境において本当に繁盛するのだろうか?

 実は、みんなが大好きなハンバーグには、大きなニーズギャップが存在するのである。Googleで「ハンバーグ 難しい」と検索してみよう。約712,000 件がヒットする。「焼き方が難しい」とするBlogのエントリや掲示板のコメントがズラリと並ぶ。そうなのだ。ハンバーグは外側をこんがり、中をジューシーに焼き上げるのは意外と難しい。中途半端な加熱だと、中の肉がまだ赤いままになってしまう。
 国立情報研究所に補完されている論文「ハンバーグステーキ焼成時の内部温度 : 腸管出血性大腸菌O157に関連して(第4報) : 一般家庭におけるハンバーグステーキの焼成方法に関する実態調査」( http://ci.nii.ac.jp/naid/110001167084 )によれば、多くの家庭での調理方法では加熱不十分で危険な状態であると指摘している。
 かといって、これでもかと加熱してはポロポロのパサパサでジューシーのかけらもなくなってしまう。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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