何故、「ガリガリ君」は、イチゴ味が定番化しないのか?

2009.09.22

営業・マーケティング

何故、「ガリガリ君」は、イチゴ味が定番化しないのか?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

今年の夏も大変お世話になった「ガリガリ君」。1本60円「デカい・ウマい・当たりつき」のハイパフォーマンス氷菓子は、年間2億5500万本売れるヒット商品である。ソーダ味、コーラ味、南国パイン味等が売れ続ける中、氷菓子の代表的な味覚「イチゴ味」は、定番化されていない。愛され続けて28年・・・何故、イチゴ味はないのか?考えてみた。

ここに、オンシーズンとオフシーズンに、ネット上で、ガリガリ君の何が語られているかを調査した結果がある
その結果を見ると、一年中を通して多種多様なフレーバーについての話題が多い。次から次へと開発されるフレーバーは、ファン達の共通の話題なのだ。それも、その味が、覇道=ニッチであればあるほど、「そうきたかぁぁぁ」ということで口コミは、盛り上がる。定番化したソーダ味や、コーラ味以外のフレーバーの話題は、挨拶のようなものだ。それが無くなっても、こっそりと話題にする流儀があって・・・そこに、「イチゴ味」のような王道のフレーバーの入る余地はない。

メーカーと消費者が共に創った独自の世界感が、王道のフレーバーの入る余地を亡くしているのだ。

さらに、「入浴剤」(バンダイとのコラボ/2007.6 発売)や、「ガリ子ちゃん」(クリーム入りアイス/2008.11発売)の話題が、オフシーズンに見られる。 “季節性”を超えるための、氷菓子を越えた作戦が、アイス売り場のために繰り広げられ、それがことごとく成功している。徹底した「くだらさな」は、季節の壁も、氷菓子という常識の壁も、軽く越えてしまったのだ。
参考【ブログトレンドウォッチ】暑くないときにガリガリ君は売れるか?より

アイスキャンディーなんて、実は、無くても困らない。他の商品だって山ほどある。だからこそ、こだわらなくてはならないことがある。最初から、「覇道」であることを覚悟したからこそ生まれた「くだらなさ」は、メーカー側の意図せぬ物語を市場に定着させることになった。

年間3億本に迫るロングセラー&メガヒット商品は、「夏の王道=イチゴ味」を商品企画会議の俎上に上げないという、くだらないプライドから生まれたのではないかと予測する。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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