【社会を変えるを仕事にする】(著)駒崎弘樹

2008.11.17

ライフ・ソーシャル

【社会を変えるを仕事にする】(著)駒崎弘樹

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

最近、流行し始めた社会起業のお話しです。理屈がどうというよりも、著者の実体験がストーリー風に語られていて非常に面白いですね。一気に読めます。そして、とても勉強になります。

 著者の方は「フローレンス」というNPOの代表で、「病児保育」事業を営んでらっしゃいますね。

 毎月の会費を払った会員さんは、子供が病気になった時にはフローレンスに子供を預けて仕事に行くことができます。

 もう、テレビ、新聞にこれでもかと取り上げられていますので、ご存知かと思いますが、ご存知で無い方は、この部分だけ聞くと、これがなぜ社会起業なの?と思う方もいらっしゃるので、多少解説をします。

 まず、子供が熱を出していると、普通の保育所は子供を受け入れてくれません。病気の子供をケアすることを保育所はビジネスの前提としていないのです。

 そうすると、お母さんは会社を休んで子供につきっきりにならざるを得ない面があります。でも、会社を何日も休めますか?

 それでクビになる人も当然います。問題としては、それを受容しない企業側にもあるわけですが、もしも病気の子供を受け入れてくれるところがあれば、非常に助かりますよね。

 ビジネスモデルも非常にクリエイティブなものです。

 中身を読めばわかりますが、当初は保育施設を作ろうとしていましたが、区長との調整が不調に終わり、施設への補助金が出ないことになり、一時、病児保育事業自体を断念しかけます。

 でも、彼は諦めずに、施設がない形でのビジネスモデル、「脱施設モデル」を組むことになります。病気の子供を預かるベビーシッター、「こどもレスキュー隊員」を登録制で集めて、その家庭で子供を預かってもらう。

 お金は月会費制。「こどもレスキュー隊員」にもお金は出ます。

 働くお母さんにもいい効果が出ています。あるバイトの方がこのシステムに登録しているお陰で、会社を休まなくなり、会社から信頼を得られて、正社員になることができたそうです。

 社会問題を解決しつつ、しっかりペイするモデルを組む。これは非常に素晴らしいです!

 私が言わなくても、「カンブリア宮殿」「ワールドビジネスサテライト」などのテレビ番組やら、名だたる新聞やらで取り上げられていますけどね。

 これこそ、「社会起業」だと思います。本当に素晴らしい。

 私は何のプランも無く、何の力もなく、なんとなく「国境を無くそう」とか、なんとなく「資本主義は間違っている」とか、なんとなく「投資銀行は強欲だ」とか、なんとなく「サブプライムのシステムは馬鹿げている」という人々が大嫌いです。

 そりゃ、矛盾の一切ないシステムをはじめから作れればそれが一番よいに決まっています。でもね、今のところそれはできていないんです。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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