前回は、保険料負担の単純な計算を行い、いかに保険料負担が大きいものかをお話しましたが、さらにここでポイントを挙げます。
まず保険商品と保険料の関連としてのポイントですが、
・生命保険(特に死亡保障商品)は、年齢とともに保険料がアップすることがあり、保障内容も一定年齢もしくは加入後一定期間を過ぎると大幅に減額、もしくは無くなってしまうケースが多い(死亡保障商品は、保険加入後10年~15年で大幅に保障金額が減額されることが多く、保障額を維持しようとすると、保険料は2倍以上アップすることがあります)。
・損害保険のうち自動車保険については、事故を起こし保険金支払を受けると、保険料がアップする。
ここで私が申し上げたいのは、何も保険は無意味だとか、保険会社が不当に儲けているとかいう事ではありません。万が一の時のために保険は絶対に必要なものです。ただ、マイホームの検討には相応の時間と労力を惜しまないのに、保険の選択には、何も考えず保険会社のセールスの方々に勧められるまま加入してしまうケースが散見されるということです。
「支払った保険料が戻ってくるような、得をする保険に加入したい」と思う人も多いでしょう。ただ、生命保険、損害保険ともに、ざっくり言って、支払保険料のうち30%~40%程度が保険会社を運営する経費として使われており、将来の保険金支払のために積み立てられる保険料は、支払う保険料のせいぜい7割程度なのです。保険商品の中には、祝い金などの保険金を出すことにより、「お得感」を演出している商品もありますが、その祝い金に対して、相応の保険料を自分自身が支払っていると考えるべきで、得をするというよりは、定期預金のような積立をしていると言った方が適切と思われます。
本来、不幸な事態に陥った人を相互扶助の精神で皆が助ける仕組みが保険というものなので、語弊を恐れずに言ってしまえば、保険料支払と保険金受取の差引金額という意味で本当に得をするのは、人より早く不幸な目に会い、保険金を早く受け取ることと言えるでしょう(ただ、それを得をしたと言って喜ぶ人がいるかどうかは疑問ですが・・・)。
話が少し脱線しましたが、大切なことは、自分や家族、財産に対して、ライフサイクルなどを考慮し、それぞれの目的に応じた保険商品や保険金額を選択し、内容をしっかり理解した上で保険に加入することです。生命保険、損害保険問わず、複数の保険商品に加入している場合、保険金の支払内容が重複しているケース(不必要に高い保険に加入しているケース)が意外に多いのです。また、個人で加入する保険以外に、勤め先が従業員に対して保険をかけている場合もあるため注意が必要です。
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2007.06.22
2009.10.27
片出 剛
有限会社 アクト・パートナーズ 取締役
はじめまして。 有限会社アクト・パートナーズの片出と申します。 私はこれまで保険会社を中心とした金融関係の仕事をして参りました。それらの経験等を通じて得た様々な情報を、楽しく分かりやすく発信できればと考えております。 よろしくお願いします。