戦略コンセプトをどう経営に活かすのか?「競争戦略」

2008.10.08

経営・マネジメント

戦略コンセプトをどう経営に活かすのか?「競争戦略」

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

差別化という言葉はよく聞きます。ただ、いろいろな営業マンの方の提案書を見ていて、ある商圏で1位のシェアを持っている企業に対して、「差別化のために」といったことが書いてあるのを見かけて、「おや?」と思いました。

 これと同じような計算が、ランチェスターの考え方を使えば、できます。
例えば支店を拡大していく際に、もともとある支店から人を抜いていく場合は、これぐらいの戦力を元の支店に残しておかないと、競合との戦力差を考えないと苦しい、といったことがわかるんですね。

 これ、クープマン教授が考えた目標値の考え方なので、クープマンの目標値と言います。オペレーションズリサーチの手法を使ってますね。ORは今は廃れていますが、理論上はとても役立つものだと思います。

 話しを元に戻しますと、経営をしていく上では、儲けを最大化したいのは当然ですよね。

 だけど、競合企業が新たな投資をしていたら、自社もやらなくてはいけなくなる。でも、こういったことを知っていれば、最低限どの程度の投資をすればいいのかがわかるんです。

 1位の企業は最低限の投資で、そのポジションを保持し続ければ、その市場が枯れない限り、儲け続けることが出来ます。だから、冒険をする必要は特にないのです。

 ただ、1位の企業でも、先行していろいろなことをするのが好きな企業もありますね。そういった行為が良い結果をもたらしている場合、下位企業が後からやろうとしても、もうやっても儲からないという状況を作っている場合が多いですね。

 こういうやり方をなんというか?

 「プラグ戦略」と言います。

 「プラグ」というのは「フタをする」という意味ですね。フタをされてしまって、下位企業は身動きがとれなくなるために、こういった名前になっています。

 ただ、先行すると大きく外すという恐れは常にあります。そういった場合、競合をよーく見ておいて、なにかうまく行きそうな感じがするものをやっていたら、真似してしまう、ということが上位企業はできます。

 そういうやり方を「牛歩戦略」と言います。

 こちらのほうが、リスクは少ないと思います。上位企業は敢えてリスクを犯す必要は、下位企業と比べれば少なくてすむんですね。

 逆に下位企業が先行する場合は、上位企業が真似できないこと、真似してもあまり効果がないと思わせるようなことをやらなくてはいけない。

 そういう時に「差別化」という言葉を使いますね。

 下位企業は先行していく場合は、常に上位企業が真似できない、しても意味がないと思うようなことをやり続けないといけないんですね。

 

下位企業が上位の真似をする場合、「コバンザメ」と言ったりします。

 上位企業のおこぼれを狙いに行く。ガンダムのプラモデルが流行れば、それに似たプラモデルを出す。間違えて買う人もいるし。ポケモンが流行すれば、デジモンを出してみる。そういったやり方です。

 ただ、1つ1つは長続きさせようと思ってやるものではないですけどね。

 ちょっと古い知見ですが「差別化」という言葉の周囲には、これぐらいのお話しがあります。こういったことを知った上で、差別化をどうする?ということを考えるならば、より精度高く、儲けることができるのではないでしょうか?と思うのです。

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伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

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