顧客はパートナー、共演者、上司、監督、スポンサー【4】

2008.06.06

仕事術

顧客はパートナー、共演者、上司、監督、スポンサー【4】

猪熊 篤史

パートナー、共演者、上司、監督、スポンサーとしてのお客様について引き続き考えてみたい。

第3の顧客層は、第2の顧客層が情報を評価していることを受けて情報を受け入れる。第2の顧客層に比べて、情報が関連する分野に対する知識や経験を豊富であることも多い。新しい情報はこの第3の顧客層によって大きく普及する。また、この顧客層の採用によって情報自体が改善されて、情報としての完成度が高まる。

第4の顧客層は、第3の顧客層が情報を活用していることを受けて情報を採用する。また、情報を部分的に使いこなす専門知識や能力がないため、第3の顧客層の利用によって噛み砕かれて、消化・吸収しやすくなっていなければ、情報を受け入れることが出来ない。

第5の層の顧客は、第3の顧客層よりもさらに保守的な顧客層である。第3の顧客層が情報を採用して、情報が広く一般化した段階で採用することになる。一方で、特定の専門分野の情報に関してはこの第5の顧客層も第2の顧客層の役割を果たすことがある。

このように考えると顧客の行動がいかに他者の行動の影響を受けているかが分かるだろう。

第1の顧客層から第5の顧客層まで順番に情報が伝播することが正当な道筋ではあるが、現実には必ずしもそうならない。

誇張、短期的な利益志向、あるいは偶然や誤解などから、例えば第3の顧客層への情報浸透段階において第4の顧客層が誤って情報を採用することもある。その場合、第4の顧客層の大方の反応はネガティブ(否定的)なものになる。第2の顧客層への情報浸透段階で第4の顧客層が情報を誤って引き受けた場合は、最悪であろう。

通常、悪意でもない限り、2段階飛び越えて顧客がより成熟度の低い情報を採用することはない。

情報は第一の顧客層には比較的容易に伝わる。第一の顧客層は否定的な評価があっても気付かないか、気にせずに新しい情報を採用する。しかし、第1の顧客層は人口の2~3%程度である。問題はそれ以降の情報の普及である。

それ以降の情報の普及は困難である。第2の顧客層への情報浸透段階では圧倒的多数の顧客(潜在的な顧客を含む)が、仮に情報を採用したとしたら否定的な反応を示すことになる。通常、そのような状態では情報が伝わらない。第3、第4の顧客層が第2の顧客層への情報浸透段階にある情報を目にすることや耳にすることは少ないはずである。あっても、気付かれないか、素早く忘れ去られるだけである。

第2の顧客層への情報浸透段階(累積人口16%程度)までは、顧客が新たな情報に対して否定的な反応を示す確率が圧倒的に高い。

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