ビジョン下手のビジョンメーキング

 ビジョンメーキングでモチベーションを引き出せない人に対しては、現状の不満点にフォーカスして改善を促すようにすると前向きな行動を引き出すことができます。

 「あなたのビジョンは何ですか?」と訊かれても、明確に答えられない人がいます。

 「あなたのビジョンと言われても、そんな不確かなことを語るなんて無責任だ」

 自分のビジョンを明言しない人の中には、このような思いがあるのかもしれません。

 ビジョンを他人に語ることを躊躇する人は、不確実な未来よりも現在の目の前にある確かな現実を重視する傾向があるようです。

 このタイプの人は、未来想像より現状分析のほうが得意なリアリストです。決して、ビジョンが無いのではなく、単にそういう切り口が苦手なだけなのです。

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 ビジョンを描くのが不得手な人には、「ビジョンメーキングがモチベーションを高める」といったロジックは通用しません。

 だからと言って、ビジョンを語らない人を単純にモチベーションが低い人とするのは早計です。

 ここからは、ビジョン好きの夢想家タイプを未来志向タイプ、夢より現実というタイプを現状認識タイプを呼ぶことにします。

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 トヨタ自動車は5月21日に、6月から従業員が勤務時間外に行っているQCサークル活動に対して残業代を全額支払うことを決めました。同社は1964年からQC活動を続けています。今や世界が認める「カイゼン」には45年の歴史があったのです。

 QC活動の普及に努める日本科学技術連盟によると、QCサークル活動は1962年に日本で誕生して以来、製造業を中心(6割)に、大手企業から中小零細に至るまで、国内で活動するサークル数は2008年4月現在で3万1564、メンバー数は29万2300人に上るそうです。

 QCサークル活動の成果発表の場であるQCサークル大会も、1963年5月に仙台で初めて開催され、今年5月に5000回を迎えました。QCサークル活動が高品質を誇る日本の製造技術の根幹を支えることは衆目の一致するところでしょう。

 (財)日本科学技術連盟:第5000回記念QCサークル全国大会
 http://www.juse.or.jp/qc/qctaikai5000.html

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 QCサークル活動は、現状認識タイプに対するモチベーションマネジメントを考えるときに参考になります。

 QCサークル活動が長年に渡り日本全国に深く根ざしているということは、日本人は未来志向タイプよりも現状認識タイプが多いのかもしれません。

 ●まずは、現状を把握する
 ●そして、何か改善したいところを見つける

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