自立から自律へ、そして自導「セルフ・リーダーシップ」へ <下>

2008.05.12

組織・人材

自立から自律へ、そして自導「セルフ・リーダーシップ」へ <下>

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

リーダーシップには2つある。対他者のリーダーシップと対自己のリーダーシップと。 さて、己をリードするとはどういうことなのだろうか?

おそらく、20代は自立と自律が大事になる期間でしょう。
そして、30代に入ると、自律・自導が大事になります。
さらに、30代後半からは、いかに自導を強めるかで、
その後のキャリア・人生が決まってくると思います。

30代前半までは、自立・自律がなされていれば、
つまり自分という船がしっかりできていて、羅針盤も持っていれば
会社組織の与えてくれた地図(=「受導」の状態)に従って、
それなりに仕事人生は回っていく。
しかし、それは結局、他人の都合で描かれた地図の上を
行ったり来たりさせられているにすぎない。

だから、その人には、真の活気が湧いてこない。働く発露がない。
そうこうしているうちに、嫌な目的地に行かされる場合も出てくるし、
組織の用意する地図自体がうやむやになってくる場合も出てくる。
そして、自立もし、自律もしているビジネスパーソンが、
30代後半から漂流、停滞を始めてしまう。
真面目であればあるほど、うつを病んでしまうことにもなる・・・。

だから、自導が大事なわけです。
ひとたび、自分の中に大いなる目的を持てば、
エネルギーが無尽蔵に湧き上がってくる。
そして、その目的地(当初は目的方向・目的イメージでもよい)に合わせて、
船体はこれで大丈夫か、船体を補強する必要があるぞ、とか、
もっと精度のいいコンパスを持ったほうがいいぞ、とか、
自立や自律を補強する意識も生まれてくる。

このポジティブでアクティブな状態がまさに、
目的を覚知したもう一人の自分が、現実の自分をリードする状態なわけです。

◆キャリア形成の要は「空想力」だ
キャリアをたくましく拓くためには、
「己を空想(妄想でもいい)すること」が第一です。
その空想が、現実の自分をいかようにでも引っ張り上げてくれるのです。
その空想を実現しようとするとき初めて、
既得の知識・技能の再構築が起こり、
新規の知識・技能の獲得に向けてもりもりと意欲が湧き起こる。

例えば私自身、この人財教育分野の仕事は新参者です。
私のコアスキルは何かと問われれば、
以前は、商品開発、情報の編集といった分野でした。
しかし、7年前、「教育」をライフワークにしようと
腹を括った瞬間から、すべてが変わりました
過去に培った知識・技能は、教育の角度で再構築され、
不足している知識・技能を新たにどんどん吸収していきました。
新しい目的の下に、新たな自立と自律の編成が自分の中で起こったのです。

そしていま、日々の仕事をするにあたって、
自分の描いた理想とする教育サービス像、理想とする研修事業者像が
自分を導いてくれているという実感です。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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