思考格差 ――「知的である」という意味

2026.10.13

組織・人材

思考格差 ――「知的である」という意味

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

これからの社会で広がっていく格差は、所得格差でも、学歴格差でも、情報格差でもないのかもしれない。 私は最近、もっと根源的な格差が生まれ始めているように感じている。 思考格差である。

AIは、人を賢くするのか

この問題を象徴しているのが生成AIである。

Microsoft Researchとカーネギーメロン大学の研究チームは、生成AIを仕事で利用する319人の知識労働者から、936件の実際の利用事例を集めて分析した。

興味深い結果が出ている。

AIへの信頼が高いほど、批判的思考を働かせる度合いが低くなる傾向があった。一方、自分自身の知識や能力への確信が高い人ほど、AIを利用していても批判的思考を働かせる傾向が強かった。

さらに重要なのは、「考える」という行為そのものが変わり始めていることだ。

AI時代の知識労働では、自分ですべてを生成することから、AIが生成したものを検証し、統合し、修正し、最終的に責任を持つことへと、批判的思考の重心が移っていると研究者たちは指摘している。

ここには非常に大きな分岐がある。

ある人は、AIを使うことで考えなくなる。

別の人は、AIを使うことで、今まで以上に深く考えられるようになる。

同じ技術である。

同じChatGPTである。

ところが使い方によって、一方では思考能力が委縮し、もう一方では思考能力が拡張される可能性がある。

つまり、

AIが人間を賢くするのではない。
その人がどのように考えているかを、AIが増幅する。

ここに思考格差の本当の怖さがある。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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