確認を重ねても、なぜ間違いは減らないのか:人を足す前に、誰が何を見るかを決める

画像: Adobe Firefly で生成

2026.11.02

組織・人材

確認を重ねても、なぜ間違いは減らないのか:人を足す前に、誰が何を見るかを決める

山中 真琴
株式会社DroR 代表取締役CEO

間違いが起きるたびに確認する人を一人足しているのに、同じような間違いが続く。そんな職場の経営者や管理職に向けて、確認する人の注意力を問う前に、確認の分担の決め方から考えます。人が増えるほど、前の人が見たはず、次の人が見るはずと互いに当てにし、誰が何に責任を持つかがあいまいになりがちです。出荷前の検品を仮の例に、確認の段ごとに見る項目と責任を分けて決める手順と、これから確認を足すときの問いを示します。

二重、三重に確認しているはずなのに、同じような間違いがまた外に出てしまう。今回は、そんな職場の話です。

仮の例で考えます(以下の例は、支援の経験をもとに組み立てた架空のものです)。

ある会社の倉庫では、注文の品を箱に詰めた担当者が、自分で中身を確かめて出荷していました。あるとき数量の違いが続いたため、詰めた箱を隣の同僚がもう一度見ることにしました。それでも違いが収まらず、出荷の直前に班長が三人目として目を通すようになりました。

確認する人は、一人から三人に増えました。

ところが、しばらくして、ある取引先から「よその会社あてのラベルが貼られた箱が届いた」と連絡が入りました。あとで聞いてみると、三人とも品物の数はきちんと数えていました。誰も手を抜いたつもりはありません。

詰めた人は、隣が見てくれると思っていました。隣の人は、最後に班長が見ると考えていました。班長は、二人が見たのだからと、数を確かめるだけで済ませていました。

けれども、伝票とラベルの宛先を突き合わせることは、誰の役目とも決まっていなかったのです。

前回に続き、ここでも仕事の分担の側から考えてみます。

人を足すほど、自分の受け持ちがぼやける

間違いが起きたとき、確認する人を一人足すのは分かりやすい手当てです。目が増えれば見落としも減るはずだと考えるのは、自然なことです。上司にとっても、手を打ったことが目に見えます。

それでも減らないと、今度は確認する人の注意力を問いたくなります。けれども私は、その前に確認の重ね方を疑ったほうがよいと考えています。

確認する人が増えると、それぞれが前後の人を当てにして、自分の受け持ちがあいまいになりやすいと見ているからです。あとから見る人は、前の人を通ってきたものだからと、軽く目を通すだけで済ませがちです。先に見る人は、後ろでもう一度見てもらえるからと、自分の確認を緩めがちです。一人ひとりの手抜きというより、確認を重ねた形がそうさせるのだと思います。

1968年にダーリー氏とラタネ氏が発表した「Bystander intervention in emergencies」という研究があります。この研究によれば、人の発作を耳にした実験の参加者は、ほかにも聞いている人がいると思うと、自分の責任を感じにくくなり、知らせるのも遅れました。緊急時の実験なので、職場の確認に当てはめるのは私の類推です。

似たことは、メールの宛先でも起きがちです。たとえば、取引先からの問い合わせを、関係しそうな五人にCCで回したとします。五人とも「誰かが返すだろう」と思ったまま日がたち、先方から催促が届く、という具合です。

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山中 真琴

株式会社DroR 代表取締役CEO

フクシマガリレイ株式会社(現 ガリレイホールディングス、東証プライム上場)を経て、2023年に株式会社DroRを創業。組織開発の実務に4年携わり、従業員50〜300人規模の企業で経営層・人事・現場のあいだに入り、意思決定の詰まりなど職場の問題を組織の構造から読み解いている。共著論文が2026年に査読誌Frontiers in Psychologyに掲載された。

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