今、経営者は何をすべきか(2) 強い組織にするために、コーポレートカルチャーを変革する

2026.03.09

経営・マネジメント

今、経営者は何をすべきか(2) 強い組織にするために、コーポレートカルチャーを変革する

村上 和德
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長

外部環境が激しく変動する今、経営者が直面している最大の課題は、実は「外」ではなく「内側」にあります。どれほど優れた戦略を掲げても、その戦略が実行されるかどうかは、組織の文化、意思決定の仕組み、人材の活かし方といった内部環境によって大きく左右されるからです。 だからこそ経営者は自社の内部環境を見つめ直し、アップデートしていくことが求められます。内部環境を変えない限り企業は変わりません。その中心にあるのがコーポレートカルチャーです。

内部環境を変える最大のカギは「学び」

経営者が真に進化したいという情熱を持っていない限り、組織は変わりません。そしてもうひとつ言えるのは、能力が足りているかどうか以前に、圧倒的に「勉強が足りていない」ということです。外部環境要因が読めず、自分が担当する業界の未来像すら語れないようでは、どう考えても勉強不足です。アメリカの勝ち組企業は驚くほど勉強しています。OpenAIの投資額は約200兆円規模に及ぶとも言われています。世界はそのスピードで動いているのです。その中で人的資源開発投資を怠れば、優秀な人材は国外へ流出し、そこでさらに勉強して鍛えられ、日本との差はひらく一方になってしまいます。

勉強が足りないと、人は「やらされ感」が強くなります。勉強するからこそ主体性が芽生えるのです。日本経済が明治以降に急速に発展できた背景には、江戸時代の寺子屋の存在が大きく影響しています。当時の庶民教育は世界的にも突出しており、読み書きそろばんが広く普及していたことから、識字率が極めて高かったとされています。第一次産業革命期のイギリスの識字率が30%程度だったとも言われ、当時の日本の教育基盤の強さが際立ちます。藩校制度があったことで、明治維新後に6・3・3制の学校教育制度へと非常にスムーズに移行し、その結果、議会制民主主義と教育制度の統一が短期間で実現できたのです。そして、資源のない日本が敗戦から経済大国へとかけ上がることができたのも、残った日本人が優秀だったからです。向学心が強い人材さえいれば、資源がなくても経済は勝てます。日本人は本来学ぶことが好きなはずですから、もう一度勉強する文化を取り戻してほしいと強く思っています。

チャンスが来ている今こそ頑張るとき、勉強するときです。今、幹部の人材育成を目的とした「エグゼクティブコンパス」というプログラムを現在準備中です。私自身このプログラムのために、西洋・東洋を問わずさまざまな経営思想を徹底的に学び直してきました。その学びをベースに、経営幹部に求められる哲学的な視座、戦略的な視点、実行に移すためのアクションプランの作り方まで、東西融合のコンテンツとして体系化してまとめているところです。

インフレ期の今、組織のトップ層が賢くないと勝つことはできません。だからこそ次世代経営層の育成は、全社が今すぐ取り掛かるべき重要経営課題のひとつです。最近では、株主が特定の役員を名指しして面談を求めることもあります。そこで問われるのは戦略です。ただ合格点をもらおうとする役員ばかりでは、組織の変革など到底できません。必要なのは覚悟です。とはいえ、覚悟は持てと言われて持てるものではありません。徹底して勉強することでしか、覚悟は育たない。これでは通用しないと気づいた時、人は本気で学び始めます。

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村上 和德

ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長

1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。

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