かつて、社会で求められる人間像は明確だった。 言われたことを、正確に、素早く、失敗なくこなす人。 知識を多く持ち、スキルに優れ、論理的に物事を処理できる人。 いわば“役に立つ人”こそが、価値ある存在とされてきた。 けれど、今、その前提が根底から覆されようとしている。 ――AIの登場である。 AIはもはや、単なる計算ツールではない。 膨大な知識を持ち、複雑な問題を論理的に解き、精度高く翻訳や文章生成を行う。 「知っていること」や「できること」では、人間はすでにAIに勝てない領域が出てきた。 この変化は、人類にある問いを突きつけている。 “では、人間にしかできないこととは何か?”
■ Doingの終点、Beingの始点
Doingの限界を越えたとき、人は初めてBeingと向き合う。
だから、スキルに疲れたときはチャンスでもある。
成果で勝負できなくなったときこそ、
「自分という存在そのもの」で勝負するステージが開かれる。
誰かと比べるのではなく、
何かを“証明”するのでもなく、
“存在としての信頼”を育てていく時代へ。
■ いま、問うべきこと
「あなたは、何ができる人ですか?」
ではなく、
「あなたは、どう在りたい人ですか?」
これからの社会に必要なのは、
技術者でも、指導者でも、成功者でもなく、
「在ることで場を整え、周囲を育む人」なのかもしれない。
次章では、具体的に「在り方とは何か」を掘り下げていきます。
それはただの“性格”や“雰囲気”ではありません。
“静かなリーダーシップ”とも言える、見えない力です。
*書籍「在り方:AI時代に求められる人財価値」から抜粋
CHANGE
2008.11.08
2008.11.06
2025.09.29
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。
