“信頼されないリーダー”がもたらす組織の静かな崩壊 あなたの職場に、こんな上司はいないだろうか―― 「人一倍仕事ができる。判断も早い。しかし、部下の信頼はない」。 指示は的確で、成果にもシビア。 だが、どこか空気が重く、チームの会話は少ない。 そして、静かな退職(Quiet Quitting)という現象が生まれる。
たとえば、ある経営者は「部下の報連相が少ない」と悩んでいました。
しかしよく話を聞くと、過去に部下がミスしたとき、
感情的に怒鳴ってしまっていたことが発覚。
つまり、部下は“萎縮して報告を控えていた”のです。
彼がそのことに気づき、「安心して話せる空気をつくる」と意識しただけで、
数週間後には報告の量と質が大きく改善されました。
人格的リーダーとは、自分の未熟さにも向き合い、
そこから成長しようとする人です。
Step 2 日常の“小さな行動”を変える
徳を育てるには、日々の“具体的な行動”がカギです。
誠実さや謙虚さは、以下のような日常の選択に表れます:
- 「ありがとう」と感謝を言葉にする
- 部下の発言に最後まで耳を傾ける
- ミスに対して“詰める”のではなく、“一緒に考える”姿勢を持つ
- 手柄を自分のものにせず、チームに還元する
- 誰に対しても、言葉遣いと態度を整える
こうした小さな行動は、最初は意識的でぎこちないかもしれません。
しかし、続けることでそれが“人格の習慣”になっていくのです。
Step 3 “フィードバックを受け取る器”を持つ
人格の成長に欠かせないのが、「他者の目」を借りること。
自分の在り方は、自分一人では気づきにくいものです。
そこで有効なのが、フィードバック文化の育成です。
たとえば、定期的にチームメンバーにこう問いかける:
「自分のマネジメントで、改善した方がいいことは何ですか?」
「今週、自分の言動で不快だったことはありましたか?」
こうしたフィードバックを受け止めることで、
「自分では誠実にふるまっていたつもりでも、相手には圧力になっていた」
というズレに気づくことができます。
人格あるリーダーは、自分の評価を他者の中に見出そうとする柔軟性を持っています。
完璧ではないからこそ、成長を続けられるのです。
実例 人格で信頼を取り戻した中小企業の社長
ここで、ある中小企業の実例をご紹介します。
社員30名、業績は悪くないが、毎年の離職率が20%を超えていた製造業の会社です。
社長は仕事ができる“カリスマ型”。
だが、トップダウンで全てを決めてしまうスタイルに、社員は距離を感じていました。
ある年、優秀な幹部社員が次々と退職。
社長は「給料も上げたのに、なぜ辞める?」と憤りながらも、
社外のファシリテーターの力を借りて、“フィードバック会”を開催しました。
社員たちは恐る恐る、こう語りました:
「社長に反対すると嫌われそうで、正直に言えませんでした」
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。
