​未来を創るリーダーは、「人格」から始まる

2025.07.28

組織・人材

​未来を創るリーダーは、「人格」から始まる

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

“信頼されないリーダー”がもたらす組織の静かな崩壊 あなたの職場に、こんな上司はいないだろうか―― 「人一倍仕事ができる。判断も早い。しかし、部下の信頼はない」。 指示は的確で、成果にもシビア。 だが、どこか空気が重く、チームの会話は少ない。 そして、静かな退職(Quiet Quitting)という現象が生まれる。

未来を創るリーダーは、「人格」から始まる

――人間的合理性がチームを変える

“信頼されないリーダー”がもたらす組織の静かな崩壊

あなたの職場に、こんな上司はいないだろうか――

「人一倍仕事ができる。判断も早い。しかし、部下の信頼はない」。

指示は的確で、成果にもシビア。

だが、どこか空気が重く、チームの会話は少ない。

誰も反論せず、言われたことだけをやる。自発性は失われ、沈黙が支配する。

こうした“成果至上主義”のマネジメントは、いまや限界を迎えている。

部下は黙って言うことを聞いているように見えて、

心はすでに会社から離れている。

それが、静かな退職(Quiet Quitting)という現象だ。

Gallup社の調査(2022年)によると、日本の「熱意ある社員」はわずか5%。

一方で、72%が“やる気のない社員(Not Engaged)”という結果が出ている。

この数字は、アメリカ(Not Engaged:50%前後)や世界平均(59%)と比較しても極端に高い。

つまり、「言われたことはやるが、それ以上はしない」社員が圧倒的に多いということだ。

これは単なる個人のモチベーションの問題ではない。

背景には、リーダーの“在り方”が深く関係している。


なぜ今、人格が問われるのか? ― 結果ではなく、信頼の時代へ

これまでの日本企業は、「仕事ができる=リーダー適格者」と見なされてきた。

管理職への昇進も、成果とスキルを中心に評価されてきた。

しかし今、求められているのは、「人格を備えたリーダー」である。

組織が直面する課題は複雑さを増し、

過去の成功体験や「正解」をなぞるだけでは乗り越えられなくなった。

そして何より、働く人々が「信頼できる人のもとで働きたい」と、

はっきり意思を持って動き始めているのだ。

ここで言う「人格」とは、スピリチュアルな意味でも、倫理道徳の話でもない。

人間的合理性(Human Rationality)、

つまり、「人として納得できる言動」「誠実であること」「傲慢にならないこと」など、

他者との関係性において信頼を育む力を指す。

言い換えれば、「結果」より「関係性」を重んじる力であり、

「支配」より「共感」をベースとしたリーダーシップである。


誠実さが信頼の土壌になる

では、人格のあるリーダーは、どんな特徴を持っているのだろうか。

この問いに対し、近年注目されているのが、

「徳を宿すリーダー(Virtuous Leadership)」という概念だ。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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