​未来を創るリーダーは、「人格」から始まる

2025.07.28

組織・人材

​未来を創るリーダーは、「人格」から始まる

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

“信頼されないリーダー”がもたらす組織の静かな崩壊 あなたの職場に、こんな上司はいないだろうか―― 「人一倍仕事ができる。判断も早い。しかし、部下の信頼はない」。 指示は的確で、成果にもシビア。 だが、どこか空気が重く、チームの会話は少ない。 そして、静かな退職(Quiet Quitting)という現象が生まれる。

リーダーシップ開発の先進国アメリカでは、

リーダーを育てるうえで「知識」や「スキル」よりも、

“Virtue(徳)”を中核に置いたプログラムが広がりつつある。

中でも重視されるのが、以下のような資質だ:

  • 誠実(Integrity):約束を守り、ウソをつかず、責任を取る
  • 謙虚(Humility):自分の限界を認め、他者から学ぼうとする姿勢
  • 共感(Empathy):相手の視点に立ち、感情を理解しようとする力
  • 公平(Fairness):人によって態度を変えず、誰に対しても敬意を持つ
  • 勇気(Courage):困難な状況でも、自分の信念に従って決断する

これらの徳性は、性格や気質ではない。

訓練と意識によって“育てることができるもの”だ。

そして、これらの徳を備えたリーダーのもとでは、

部下が自分の意見を言いやすくなり、失敗を恐れずにチャレンジできる。

つまり、心理的安全性(Psychological Safety)が自然と醸成されるのだ。


「人格」が、組織の空気を変える

職場における空気は、目に見えないが非常に強力だ。

一人のリーダーがイライラしていると、

その空気はチーム全体に伝播する。

逆に、リーダーが「ありがとう」と自然に言える人であれば、

その文化は徐々に根づいていく。

つまり、リーダーの人格こそが、

組織文化を形づくる「最も根源的な“土壌”」なのだ。

リーダーが人間らしく在ることで、

部下も人間らしく、安心して仕事ができる。

その結果、チームの生産性が上がり、離職率も下がる。

Gallup社の調査でも、

「上司を信頼できない職場では、静かな退職が起こる確率が3倍になる」

というデータが示されている。

逆を言えば、“人格あるリーダー”の存在が、社員の心を職場に繋ぎとめる最大の要因になるということだ。


徳を宿すリーダーになるための「3ステップ」

人格あるリーダーになるといっても、

「いまさら自分の性格を変えるのは無理だ」

と思う方もいるかもしれません。

しかし、人格は“生まれ持った資質”ではありません。

日々の選択の積み重ねで、徐々に育っていくものです。

ここでは、現実的かつ実践的な「3つのステップ」を紹介します。

 Step 1 まず、“自己認識”を深める

人格的なリーダーは、まず自分を深く理解することから始まります。

自分が何に怒りやすいのか、どんな場面で萎縮するのか。

何を恐れ、何にこだわっているのか。

これらを客観的に把握することが、他者との関係性を築く土台になります。

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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