「外洋」に出よう!「解」は外にある

2025.06.19

経営・マネジメント

「外洋」に出よう!「解」は外にある

村上 和德
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長

私はよく、ビジネスパーソンの置かれている(置いている)環境について紹介します。環境といっても、業種や業態、大企業や中小企業ということではなく、厳しさと快適性、リターンとリスクの大きさといった、基本的な可能性としての環境のことです。 どのような環境で仕事をしているかによって、求められる力や判断基準、さらには成果の出し方が大きく変わってきます。私はこうしたビジネス環境を、「泳ぐ場所」にたとえて、以下の4つの層に分類しています。

・外洋

最後に、同じ海でも外洋です。世界を相手にするわけですから、成功すれば、得るものはけた違いです。企業に限らず、スポーツや芸術の世界でチャレンジする人もいます。

しかし、外洋となると、これまでとはレベル違いのリスクが存在します。リスクはもはや予測不能です。危険な生き物もいれば、大きな海流もあります。突発的な嵐に遭遇することは日常ですしょう。こうした予測不能なイベントリスクを覚悟して泳ぐことになります。

外洋で泳ぎ、チャンスをつかんでいる人のことを、私は「グローバルエリート」と呼んでいます。もちろん、日本人のグローバルエリートもたくさんいます。

解は外にあり、課題はいつも中にある。「課題発見型思考+ネガティブ反応を求める行動=真の情報量」

グローバルエリートは肩書きやスキルだけで語られるものではなく、真に世界で活躍する人材はある共通する力を備えています。

ひとつ目の違いは、働く場所の意識です。外部環境です。外洋で泳ぐ人にとって、解は外にあります。答えは常に自分の外側にあるため、顧客やエージェント(販売チャネル)、プロフェッショナル、提携パートナーといった「世の中の本物の役者たち」と共に生きています。そして、その「外」という世界が果てしなく広いのです。

一方、プールで泳ぐ人は社内の人間関係の中で生きています。「解は外にある」の意味は、会社の外にいる本物の役者との対話を増やすということです。つまり、どうやって外の本物の役者たちとつながり、彼らに自分の仕事をサポートしてもらえるかが、ひとつの分岐点だと言えるでしょう。

ふたつ目は、課題の捉え方です。プールで泳ぐ人は、上司が悩んでいることや上司に聞かれたことをそのまま課題と捉えて、その解決方法をGoogleやチャットGPTに聞きます。一方、外洋で泳ぐ人は、「課題はいつも中にある」と考えます。課題は解決すれば終わりというものではなく、何が本質的課題なのかを発見し、その課題発見のプロセスをもっとも大事にします。だからこそグローバルエリートは、本質的な課題を見つけるために、外に出て解を求めます。外で営業活動を行う中で、失敗事例やリアルな情報を誰よりも早く収集しようとします。真の顧客は誰なのか、マーケットのニーズ・ウォンツは何なのか、事前に完全には見えません。まずは見えないままシュートを打ってみて、金額なのか、内容なのか、タイミングなのか、検証を繰り返すことで確率を上げいく。この「課題発見型思考+ネガティブ反応を求める行動=真の情報量」であるという感覚を持っているのが、グローバルエリートなのです。

「井の中の蛙大海を知らず」という、有名な中国の古典『荘子(そうじ)』に由来することわざがあります。狭い世界に閉じこもっている人は、広い世界を知らずに視野が狭くなってしまうということですが、小さな井戸の中で暮らしているだけでは、その世界が全てだと思い込んでしまいます。実際には広い大海があり、解は常に外にあることを忘れないでください。


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村上 和德

ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長

1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。

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