顧客に対して、どのような価値を与えていますか?顧客価値は次の4つの視点で考察しました。
今、ビジネスはプロセス価値の時代に入ってきました。製造業は商品の品質が勝負なので、いまだに結果価値が多くを占めますが、サービス業はプロセス価値の比重が高くなっています。また、製造業はAIやロボティクスによって格段に収益率が上がりましたが、サービス業はほとんど収益率が変わっていません。セールステックの導入が進んでも、実際にそれによって顧客満足度が上がった、あるいは1人当たりの生産性が伸びて時価総額が倍になったという話はあまり聞きません。けっきょくサービス業は面倒なことを避けて通ることはできません。人の手はどうしても必要です。だからこそ、結果だけではなくプロセス価値を意識して作り出していく必要があります。
「BtoBでもプロセス価値は生み出せますか」とよく聞かれますが、もちろんつくることができます。BtoBもけっきょくは「人と人」の仕事です。複数の決裁者がいる場合でも、そこに関わる一人ひとりに「この会社にこのテーマを託してよかった」と思ってもらえるプロセス価値は、確実に存在します。それには、そのプロセスが同業他社にはないような体験であることが重要です。
一般的な営業は商品を見ていますが、成果を出す営業は、相手の外部環境を知り、その先にいる顧客の顧客まで視野に入れています。自分の商品をテーブルに並べるのか。それとも、顧客の未来や課題をテーブルに乗せるのか、BtoB営業の場合、この違いが営業としての成果を大きく分けます。
2.機能的価値/情緒的価値
「機能的価値」とは、商品やサービスが持つ性能や効果といった、客観的に評価できる価値のこと。
「情緒的価値」とは、顧客がそれを手に入れ利用することで得られる気分や感情を指します。大切なのは、商品やサービスの性能を一方的に押しつけるのではなく、顧客がどのような気持ちでその商品を選び、使いたいと思うのかという視点を持つことです。機能的価値だけでは伝わらない情緒的価値をどう表現し、どう届けるかを考えてください。
3.現実的価値/政治的価値/戦略的価値
「現実的価値」とは、その商品やサービスを顧客が好きか嫌いか、それを購入することで業務が楽になるか、相手の会社と付き合うと得か損か、といった実利です。
「政治的価値」とは、その購入によって顧客の社内での評価が上がるかどうか、ポジションを強化できるかどうかといった視点です。
「戦略的価値」とは、経営戦略上の成長や将来の競争優位性につながる価値を指します。
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2009.02.10
2015.01.26
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長
1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。
